2018年9月15日 (土)

WWVB(60kHz)受信用の公認(?)ループアンテナ(200ターン)

 現在、JJY受信用のアンテナとして、自作の300φ10ターンのループアンテナや、40/60kH同調形のバーアンテナを使用していますが、受信状態があまり良くありません。
 アンテナは、鉄筋コンクリートの二棟の建物の間に挟まれた2Fのベランダに設置しているので、受信環境はかなり悪いです。
 アンテナを交換すれば少しは改善されるのではないかと思って、実績があって簡単に作れるものがないか探していたら、一寸面白そうなアンテナを見かけました。

    EclipseMob Antenna Instructions
    http://eng.umb.edu/~eclipsemob/index.php/homepage/build/117-eclipsemob-antenna-instructions

【EclipseMob用アンテナ】(上記URLから抜粋引用)
Eclipsemob_antenna_and_receiver

  アンテナの作り方が非常に詳しく説明されています。
  使用部品(抜粋)は以下のようになっています。

    Component Quantity
    28 AWG Magnet Wire ~ 800 - 1000 ft
    Antenna Winding Form ~ 10 - 12" square

  1000フィート(約300m)というと結構な長さです。
 "two 100 turn loops"と書いてあるので、コンテナボックスの周囲にコイルを200回巻く必要があるようです。
 単純作業ですが時間がかかりそうです。
 巻き数から想像するとかなり低い周波数に対応していると思われますが、この資料だけでは具体的な周波数がわかりません。

 資料の一番上に”EclipseMob”と書いてあったので、これを調べてみました。
  Eclipse=「食(蝕)」、Mob=「大衆、群衆etc.」

  EclipseMob
  http://eng.umb.edu/~eclipsemob/

 EclipseMobについては、以下のような説明がありました。
  "EclipseMob is a collaborative effort to conduct a crowdsourced measurement of low-frequency radio wave propagation during the August 2017 solar eclipse."
【Google翻訳】EclipseMobは、2017年8月の日食中の低周波電波伝搬のクラウドソース測定を行う共同作業です。

 去年(2017)に米国で日食(Solar Eclipse)が観測された際に、日食が電離層に与える影響を調査するために、WWVB(60kHz)の信号を市民レベルで複数個所で受信し、受信データをスマホ経由でアップロードするようなシステムを構築したようです。

 上記EclipseMobのサイトを見ると色々な情報が書いてありました。
 なお、今回のイベントは終了しているので、大部分の情報は過去のものとなります。

EclipseMob
http://eng.umb.edu/~eclipsemob/

・Build
・・Installing Switches
・・Antenna Alignment Instructions
・・Hacks, Tweaks, and Adjustments
・・EclipseMob Antenna Instructions (ループアンテナの作り方)
・・How to Order Parts for Receiver and Antenna Kit
・・Version 2 Receiver Instructions (受信機の作り方)
・Learn
・Share
・Experiment
・・If you're using another receiver (60kHz→18.2kHz変換の説明あり)
・・The EclipseMob Experiment: Instructions
・・Using the EclipseMob App to Test Your Receiver (アプリによる受信機のテスト方法)
・・EclipseMob Experiment Recordings and Privacy
・・What to do with your EclipseMob kit after the Solar Eclipse? (日食後の活用方法。2024年の日食の時に利用できる?)
・・About the Experiment
・・・History of EclipseMob
・・・The EclipseMob Project and why we care?
・・All About WWVB
・・NIST's WWVB Coverage Maps
・News & Events
・About Us
・Contact Us
・Resources
・EclipseMob App Updates

 全体の様子がぼんやりと判ってきましたが、信号の流れがよく判りません。

 受信機の回路ブロック図があったので、一寸眺めてみました。
 EclipseMob → Build → Version 2 Receiver Instructions
  http://eng.umb.edu/~eclipsemob/index.php/homepage/build/126-receiver-instructions-2

【EclipseMob受信機】(上記URLから抜粋引用)
Eclipsemob_reciver

【INA103】Low Noise, Low Distortion Instrumentation Amplifier
(http://www.ti.com/lit/ds/symlink/ina103.pdfから抜粋引用)
Eclipsemob_ina103

【AD633】Low Cost Analog Multiplier
(http://www.analog.com/en/products/ad633.html#product-overviewから抜粋引用)
Eclipsemob_ad633

  作り方については、写真付きで詳細な説明がありますが、動作の説明は少ないです。
 ブロック図からなんとなく信号の流れが判ってきましたが詳細な動作は判りません。

 下記の資料を見てやっと信号の流れが判りました。

   EclipseMob→Experiment→If you're using another receiver
   http://eng.umb.edu/~eclipsemob/index.php/homepage/experiment/143-if-you-re-using-another-receiver

 以下のような説明がありました。
  "In order to get a 60 kHz signal through the audio input passband of a phone (most phones have an antialiasing filter that cuts off at about 22 kHz), EclipseMob's receiver downconverts, using the phone to generate a 20.9 kHz local oscillator signal.  That signal is doubled in one multiplier and then fed into a second multiplier to convert down to 18.2 kHz, which we'll be able to detect with the phone.  Because of this setup, we'll be looking for WWVB on 18.2 kHz, and you won't be."

  文章では判り難いですが、ブロック図にすると信号の流れが見えやすいです。(入力アンプは省略)

       WWVB(60kHz)→Ant→mixer(mux2)→18.2kHz→Smartphone
                                           ↑41.8kHz
Smartphone(OSC 20.9kHz)→doubler(mux1)

 60kHzの信号を、スマホで発生させた20.9kHzの信号を2逓倍した41.8kHzの局発信号と混合して18.2kHzに低域変換し、音声帯域信号としてスマホに供給するようです。

 別の資料を探してみたら、以下の記事にも"official receiver"について書いてありました。

  ‘W’eird Signals: Listening in on the Eclipse
    August 15, 2017
    https://www.nist.gov/blogs/taking-measure/weird-signals-listening-eclipse
(以下、上記URLから抜粋引用))
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In the official receiver, the WWVB radio signal is picked up by the antenna and passed to the circuit, which shifts the signal down from 60 kHz to 18.2 kHz. Now in the audio band (roughly 20 Hz to 20 kHz), the frequency-shifted signal is fed to a smartphone via the headphone jack.
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 EclipseMob用のアプリが提供されているようなので探してみたら、それらしいアプリがありました。
   
  EclipseMob - Google Play のアプリ
  2017/08/16
  https://play.google.com/store/apps/details?id=org.eclipsemob&hl=ja
(以下、上記URLから抜粋引用)
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更新日:2017年8月16日
サイズ:4.2M
インストール:100+
現在のバージョン:1.1
Android 要件:4.0.3 以上
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 どのようなアプリなのかと思って、インストールしようとしたのですが、「このアプリはお使いのどの端末にも対応していません。」というメッセージが出てきました。

【EclipseMobアプリ】
Eclipsemob_application

 メインで使用しているスマホSH-01FはAndroid 4.4.2なので、要件は満たしているように思えますが、理由はよく判りません。
 アプリの提供は終了?

 EclipseMobは、かなり大がかりなプロジェクトだったようですが、結果はどうなったのか気になって調べてみました。

 EclipseMob(http://eng.umb.edu/~eclipsemob/)には、以下のように書いてありました。
  "EclipseMob has collected nearly 500 recordings from locations across the United States."

 以下の記事を見ると"EclipseMob supplied 150 DIY kits"と書いてあります。アプリのインストール数も”100+”となっているので、大体計算が合います。

  SAO/NASA ADS Physics Abstract Service
  EclipseMob: Results from a nation-wide citizen science experiment on the effects of the 2017 Solar Eclipse on Low-frequency (LF) Radio Propagation
  http://adsabs.harvard.edu/abs/2017AGUFMED34B..08L

 全体で500件のデータが集められたようなので、キット以外の受信手段で受信した人もかなりいたということでしょうか?

 観測結果に関する記事をかなり探してみたのですが、それらしい記事を見つけることができませんでした。
 一寸不思議だと思っていたら、その理由と思われることが、下記の資料(顛末記?)に書いてありました。

    HamSCI
    Crowdsourced Lessons Learned from the 2017 Solar Eclipse LF Exercise
    http://hamsci.org/sites/default/files/publications/2018_HamSCI/20180223_140_HamSCI2018_Liles_NQ6Z_Eclipse.pdf

 以下の記載がありました。

  "・problem with the app - receiver interface, extracting the signal has proven to be a challenging signal processing problem."

 教訓として、「手に負えなかったら助けを呼ぶ!」、「テスト、テスト、またテスト!」等が挙げられていました。
 自分も一寸耳が痛いかも・・・

 今回の観測結果を踏まえて、2020年と2024年用の改良版のインターフェースが検討されているようです。

  EclipseMob 2020/2024 Bluetooth-Based Kit for Crowdsourced Ionospheric Measurements
  https://fallmeeting.agu.org/2018/abstract/eclipsemob-2020-2024-bluetooth-based-kit-for-crowdsourced-ionospheric-measurements/
(以下、上記URLから引用)
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Abstract Body:
The first EclipseMob project was an effort to crowdsource a geographically widespread LF radio wave propagation measurement during the August 2017 solar eclipse. The path and visibility of the eclipse in relation to the United Sates provided an opportunity to study the time and location dependence of the ionospheric disturbance brought on by the total solar eclipse, an opportunity that will not arise again in the United States until the year 2024. 150 DIY receiver and antenna kits were distributed across the United States to hobbyist, students, educators and other citizen scientists. Unfortunately, a problem with the interface between the kit and the smartphone app prevented most kits from collecting usable data.

The smartphone-based receiver and center-tapped-loop antenna kits will be redesigned for the 2020 (South America, India) and 2024 (North America) solar eclipses; the kit will be designed to require minimal tool use and no soldering. Since smartphones are increasingly moving away from audio jacks, the receiver kit will contain a BLE Arduino board that provides A/D conversion and a local oscillator signal. The design will also include onboard test circuits for the participants to check if the kit has been assembled correctly. We will present details of the redesigned EclipseMob kit.
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  どうも、受信キットとスマホとの間のインターフェースが不調であったため、利用可能なデータを殆どの受信キットから収集することができなかったようです。
  "prevented most kits from collecting usable data." ということは。全滅という訳ではなくて、利用可能なデータもあったということなので、アンテナと受信機自体はOKだったと考えていいように思われます。

 60kHzの信号を音声帯域の18.2kHzに変換してケーブルでスマホで伝送するインターフェースだったようですが、音声帯域を使ったインターフェースは、動作条件(レベル、波形等)が結構クリチカルです。昔の話ですが、Kansas City Standardでは結構苦労しました。

 新しい受信キットでは、Arduinoボードを使用してA/D変換、局発信号発生を行って、Bluetoothでスマホに伝送するようです。

  1年以上前のイベントで使用されたループアンテナを元ネタにして、好奇心に任せてあちこち脇道に逸れて、話が拡散してしまいましたが、上記の各資料を見た範囲では、アンテナ自体には問題はないようなので、次に60kHz用ループアンテナ製作時の参考になるかもしれません。

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2018年9月 9日 (日)

QZSSをu-center v18.06で表示してみました

 しばらくu-centerを使っていなかったら、バージョンが大幅に変わっていました。
  最新版はv18.06のようです。
 以前使っていたのがv8.26だったので、半年位ででそんなに何回もバージョンアップされたのかと思いましたが、ネーミングのルールが変更になったようです。
 v18.06は、2018年06月のバージョンという意味のようです。

  u-center v18.06
  Release Note
  https://www.u-blox.com/sites/default/files/u-center-v18.06_ReleaseNote_%28UBX-18033765%29.pdf
  "As of April 2018, the u-center release number has a new release version definition, where the current "year.month" defines the release number. For example, the version number for April, 2018 release is 18.04."

 早速インストールして使ってみました。

  u-center
  GNSS evaluation software for Windows
  https://www.u-blox.com/en/product/u-center

  u-center for Windows, v18.06
  https://www.u-blox.com/sites/default/files/u-centersetup_v18.06.zip

  u-center User Guide
  Revision and date R19 31-May-2018  https://www.u-blox.com/sites/default/files/u-center_UserGuide_%28UBX-13005250%29.pdf

 衛星の指定は、User Guideの"9.6 Set GNSS configuration"を参考にしました。
 10分間隔でキャプチャして6時間分をGIF動画で表示してみました。時刻はJSTです。

【U-center v18.06(QZSS)20180909_0000~0600】
Ucenter_v1806qzss20180909_00000600


 衛星情報の表示様式が少し変更されたみたいです。
  文字が大きくなったので、古希過ぎの老人でも楽に見えます。
 原因はよく判りませんが、時々、Satellite Level Historyの表示が飛んだり、全く表示されないことがあります。
 最近、PC(ThinkPad X230)の調子が悪い(電源が勝手に落ちる)ので、関係しているかもしれません。

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2018年9月 8日 (土)

久しぶりにu-centerを起動してQZSSを受信

 以下のお知らせによれば、QZSSの試験運用が再開されたようなので、久しぶりに受信してみました。

  内閣府宇宙開発戦略推進事務局
  準天頂衛星の試験運用の再開について
  2018年09月07日
  http://qzss.go.jp/overview/information/qzss_180907.html

 GR-8013U(u-blox M8)とu-center(v8.26)の組み合わせで受信しました。
 半年振りの受信なので、u-centerのバージョンが古いです。

【U-center(QZSS)20180908_0815】
(画像を左クリックで拡大表示)
Ucenterqzss20180908_0815

【U-center(QZSS)20180908_0931】
Ucenterqzss20180908_0931_2

【U-center(QZSS)20180908_1056】
Ucenterqzss20180908_1056

【U-center(QZSS)20180908_1057】
Ucenterqzss20180908_1057_2

【U-center(QZSS)20180908_1100】
Ucenterqzss20180908_1100

【U-center(QZSS)20180908_1102】
Ucenterqzss20180908_1102_2


【U-center(QZSS)20180908_110503~110633】
(3秒間間隔でキャプチャ。画像を左クリックで拡大表示。)
Ucenterqzss20180908

【U-center(QZSS)20180908_133124~133627】
Ucenterqzss20180908_133124133627



  結構長い期間にわたって信号のレベルが変化しないこともありますが、頻繁に変化するときもあります。

 そのうち、高精度対応の安価なGPSが出てくることを期待しています。

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2018年9月 1日 (土)

60kHz付近で見えた天に昇る龍のような奇妙な信号

 SDRPlayで60kHzのJJYを受信していたら、SDRunoの"AUX SP"のウィンドウに、周波数がふらふら変動している二つの信号が表示されました。
  二頭の龍が絡み合いながら天に昇っているように見えないこともありません。

Weird_two_signals_drifting_near_60k

 周波数ドリフトのパターンとしては周波数安定度が悪い自励発信器の出力のような感じです。

 常時表示される訳ではなくて、たまにしか表示されません。
 二つの信号の周波数が独立してドリフトし途中で交差することもあり、また、周波数の変化の幅が最大でも数百Hz程度というのが不思議です。
 JJYの60.000kHzの真上(AUX SP画面では700Hz付近)を通過することもあるので、一寸邪魔です。
 何かのインバータからの漏洩信号のような気もしますが、正体はよく判りません。

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2018年8月31日 (金)

2036年の宇宙天気予報(?)

 ネットニュースで以下の記事を見かけました。

  朝日新聞デジタル
  宇宙天気予報、本格運用へ 国がAIを活用して9月にも
  2018年8月30日11時14分
  https://www.asahi.com/articles/ASL8Z2QYJL8ZULBJ003.html

 どんな感じになるのかと思っていたら、YouTubeのNICTchannelに2036年の宇宙天気予報のデモ動画がありました。

  宇宙天気予報
  NICTchannel 
  Published on Oct 1, 2017

 全体は長いですが、宇宙天気予報のデモは、1:00頃までです。
  9:45-10:15にAIの話が出てきます。

 趣味で無線をやっていると電波伝播が気になりますが、NICTのサイトには、関係しそうな情報もあります。

  予報 | 宇宙天気予報センター
  http://swc.nict.go.jp/forecast/

  HOME>予報> 電離圏領域
  http://swc.nict.go.jp/forecast/ionosphere.html

  HOME>現況・トレンド> スポラディックE層
  イオノゾンデによる日本上空のfoEs
  http://swc.nict.go.jp/trend/es.html

 昔は、JJY(短波)でモールスの「U」が聞こえると、受信機の前に張り付いていました。
 今は昔のような元気はありませんが、Esが発生しそうなときは、たまに50MHz(6m)を受信することがあります。
  昔は、オートワッチャ等という洒落たもの(高価なもの)は持っていなかったので、JR-60のダイヤルを50MHzから54MHzの間をエンドレスで往復させながら受信するという結構面倒な作業が必要でした。
 現在は、SDRPlayとSDRunoの組み合わせで、10MHz帯域を同時に受信できるので、どの周波数で出ているのかがすぐに分かります。
 また、ウォーターフォールの流れる時間を遅くすると、約1時間分の受信状態が表示できるので、過去のオンエア状態も簡単に把握できます。

 当方は殆ど電波は出しませんが、受信はしているので、電波伝播の状態が簡単に分かると便利です。
 以前、ブログパーツを貼っていたのですが、かなり前から調子が悪い(データが更新されない)ので取り外しました。
 久しぶりにブログパーツの提供元の以下のサイトを覗いてみたら、内容が更新されているようなので、別のブログパーツに置き換えてみました。
 
  Solar Data Banners & Widgets
  www.hamqsl.com/solar.html

Solar-Terrestrial Data

 

 地理的な問題があるので、日本での状況を推定するのは難しいような気がしますが、どちらかといえばアクセサリ的に置いているので、あまり問題はないでしょう。

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«VLFで見えた鉛筆形状のウォーターフォール