クアルコムのワイヤレス充電技術「eZone」
GIGAZINEを見ていたら次のような記事がありました。
”携帯電話などをケーブル不要で充電できるクアルコムのワイヤレス充電技術「eZone」は年内登場へ” (2009年07月22日)
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090722_wireless_japan_2009_qualcomm/
この記事によれば、MITのWitricity、IntelのWRELと同様に磁界共鳴(Magnetic Resonance)という方式を採用しているようですが、詳細が判りません。
調べて見ると以下のような記事がありました。
日経ITpro
”[MWC2009]米クアルコムが非接触充電技術を初披露、20~30cm離してもOK”
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090219/325089/
この記事によれば、利用する周波数は、Suicaなどの非接触ICカードが用いるのと同じ13.56MHzということですが、この周波数はRFIDで広く使われているので、干渉が一寸心配です。
また、第2高調波の27.12MHz、がCB無線、ラジコンなどで使用されているので、状況によっては干渉があるかもしれません。
なお、13.56MHzはプラズマ発生用の高周波電源(出力60kWの放送局クラスのものもあります)で使用されていますが、漏洩対策も行われているだろうし、近くに設置されている可能性も低いので、実際に問題になることは少ないと思われます。
ITmedia(2009年02月19日 03時53分 更新)
”ワイヤレス充電技術「eZone」を初公開、MediaFLOをiPhoneで見るデバイスも――クアルコムブース (1/2)”
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0902/19/news016.html
この記事によれば、eZoneで供給できる電力は、5V 500mA(2.5W)程度ということなので、無線伝送効率を50%と考えると単純計算では出力が5Wの13.56MHzの送信機が必要ということになります。出力が5Wということは、外部アンテナなしでも結構電波が飛ぶことが考えられるので、一寸心配です。特にデータが重畳された場合には側帯波が広がって、アマチュア無線の14MHz帯がノイズだらけになる可能性があるように思われます。
なお、下記のUniversal Wireless Chargingのデモの動画がありますが、このデモの説明では本当に電波が出ていると誤解しそうです。上記GIGAZINEの記事には、「日本国内で展示しようと思うと放送免許が必要であることがわかったため、やむなくモックが展示されているそうです。」と書いてあります。
QUALCOMM Universal Wireless Charging
http://www.youtube.com/watch?v=KVupM4rlAlI&eurl=http%3A%2F%2Fweekly.ascii.jp%2F2009%2F07%2F2009_6.html&feature=player_embedded
0分25秒~3分05秒
こちらは実動モデルの動画です。
Video-Interview at Mobile World Congress 2009 (MWC09) in Barcelona.
本家のQualcommのサイトを覘いてみると、以下のような記事がありましたが、これを見ても詳細はよく判りません。
Universal Wireless Charging
http://www.qualcomm.com/products_services/consumer_electronics/wireless_charging/index.html
http://www.qualcomm.com/common/documents/articles/eZone_052609.pdf
各種の資料をざっと見た範囲では、原理はMITのWitricityに類似、周波数は13.56MHz、出力は数W?というのが判った程度です。
いずれにしても、短波利用者にとっては頭痛の種がまた一つ増えたという感じでしょうか?
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