免許不要1W局の一例はドッグマーカー?
電波法(第四条第一項第三号)が改正されて、免許不要局の空中線電力の上限が0.01Wから1Wになりましたが、まだ具体的なイメージが湧きません。
総務省のサイトを見ていたら、関係ありそうな以下の資料がありました。
総務省トップ > 組織案内 > 審議会・委員会・会議等 > 情報通信審議会 > 会議資料 > 移動通信システム委員会 > 小電力システム作業班 >
情報通信審議会 情報通信技術分科会 移動通信システム委員会 小電力システム作業班(第2回)
日時 平成23年7月21日(木)15:00~16:30
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/idou/02kiban14_03000084.html
配付資料
資料2-1 小電力システム作業班第1回議事録(案)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000128360.pdf (全2頁)
資料2-2 情報通信審議会 情報通信技術分科会 移動通信システム委員会報告 概要(案)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000128361.pdf (全31頁)
資料2-3 情報通信審議会 情報通信技術分科会 移動通信システム委員会報告(案)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000128362.pdf (全60頁)
参考資料2-1 「小電力無線システムの高度化・利用の拡大」についての関係者からの意見聴取
http://www.soumu.go.jp/main_content/000128363.pdf (全34頁)
(意見陳述は、ICOMからの「Emergency Home Radio」の1件のみ)
この中の資料2-2の「動物検知通報システム(150MHz帯)」を読んでみると、狩猟者が猟犬の位置把握等に使用する所謂ドッグマーカーが想定されているようです。
これによると、ドッグマーカーとしてアマチュア無線の2mバンド内で違法送信機が使用されています。
違法ドッグマーカーによる被害も出ているようです。
総務省関東総合通信局
不法ドッグマーカー・不法アマチュア無線の開設者を告発≪神奈川県秦野警察署と共同で不法無線局の取締りを実施≫
報道資料/平成22年1月19日
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/if/press/p21/p2201/p220119k.html
このような状況になっているのは初めて知りました。
趣味でアマチュア無線と射撃もやっているので、今までに気がついても良さそうですが、ハンティングはやったことが無かったので、そのような話は聞いたことがありませんでした。
大昔に買った犬笛と狩猟教則本はまだ手元にありますが・・・・
また、居住地が狩猟場から離れているので2mでの混信を経験したこともありません。
ネットで調べてみると違法と思われるドッグマーカーの広告が散見されます。
説明文の中に以下のような記載があります。
・ 「※国内でご利用される場合、電波法に抵触する恐れがあります。」
(日本以外であればOK???)
・ 「■周波数は144.00~146.00MHz迄の1波になります。」
(もろにアマチュア無線の2mバンドです)
ARIB STD-T99(規格)に対応した合法(技適マーク付き)のドッグマーカーもありました。
技術基準適合証明番号が写真に写っていたので、「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」(http://www.tele.soumu.go.jp/giteki/SearchServlet?pageID=js01)で検索してみたら、確かに該当データがありました。
需要はあるのに合法品が無い(少ない)ということで違法品が流通しているということであれば、手続不要で大出力(高品質)の合法品が入手できるようになれば、自覚しない違法行為を抑止できるかもしれません。
現在、以下のようなシステムが検討されているようです。
動物検知通報システム(150MHz帯)
新 旧
周波数帯 変更なし 150MHz帯
空中線電力 1W 0.01W以下
通信距離 3~5km程度 0.5km程度
(資料2-2 21頁参照)
空中線電力が100倍で距離は約10倍?
超単純に考えて、100**0.5=10 で計算は合うのかも・・(アンテナの利得は考えません)
(Google窓に100**0.5を放り込むと計算してくれます)
なお、空中線電力は、電波法施行規則第二条で定義されています。
文字面から想像するとアンテナから出力される電力のような気がしますが、アンテナ(のフィーダ)に供給される電力です。
対象となる分野は沢山あるようですが、次の二つのシステム以外は、継続審議中とのことです。
・ 移動体検知センサー用無線設備(10GHz帯、24GHz帯)
・ 動物検知通報システム(150MHz帯)
(参考資料2-1 P2(3/34)参照)
何か優先順位があるのでしょうかね?
社会問題になった(新聞記事になった?)ものが優先?
自分に最も関係が深いと思われるWiFiがどうなるか興味があります。
もし空中線電力(アンテナに供給される電力)が1Wと仮定すると、勝手に(違法に)利得20dBのパラボラアンテナを繋ぐと恐ろしいことになりそうです。
【参考外部リンク】
平成21年1月23日
九州総合通信局
救急無線に妨害を与えた不法無線局開設者を摘発
~狩猟用発信機(ドッグマーカー)の使用者を摘発~
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kyushu/press/090123-3-1.html
平成22年5月20日
九州総合通信局
「猟犬等位置把握・検知用無線システムに関する調査検討会」の開催
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kyushu/press/100520-2-1.html
狩猟における適正な電波の利用を指導啓発≪茨城県大宮警察署の狩猟者の取締りと併せて実施≫
報道資料/平成23年3月3日
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/if/press/p22/p2303/p230303is.html
狩猟におけるドックマーカー(猟犬用発信機)の使用について
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/ques/faq/faq/kankyu.html#a1
電波法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO131.html
第四条
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO131.html#1000000000002000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
第二章 無線局の免許等
第一節 無線局の免許
(無線局の開設)
第四条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ただし、次の各号に掲げる無線局については、この限りでない。
一 (省略)
二 (省略)
三 空中線電力が一ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、次条の規定により指定された呼出符号又は呼出名称を自動的に送信し、又は受信する機能その他総務省令で定める機能を有することにより他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用することができるもので、かつ、適合表示無線設備のみを使用するもの
四 (省略)
電波法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F30901000014.html
第一章 総則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F30901000014.html#1000000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
(定義等)
第二条 電波法 に基づく命令の規定の解釈に関しては、別に規定せられるもののほか、次の定義に従うものとする。
六十八 「空中線電力」とは、尖頭電力、平均電力、搬送波電力又は規格電力をいう。
六十九 「尖頭電力」とは、通常の動作状態において、変調包絡線の最高尖頭における無線周波数一サイクルの間に送信機から空中線系の給電線に供給される平均の電力をいう。
七十 「平均電力」とは、通常の動作中の送信機から空中線系の給電線に供給される電力であつて、変調において用いられる最低周波数の周期に比較してじゆうぶん長い時間(通常、平均の電力が最大である約十分の一秒間)にわたつて平均されたものをいう。
七十一 「搬送波電力」とは、変調のない状態における無線周波数一サイクルの間に送信機から空中線系の給電線に供給される平均の電力をいう。ただし、この定義は、パルス変調の発射には適用しない。
七十二 「規格電力」とは、終段真空管の使用状態における出力規格の値をいう。
七十八 「実効輻射電力」とは、空中線に供給される電力に、与えられた方向における空中線の相対利得を乗じたものをいう。
Circuit Design, Inc.
電波って何?
http://www.circuitdesign.jp/jp/technical/DesignGuide/guide3.asp
任意地点の電界強度
http://www.circuitdesign.jp/jp/technical/DesignGuide/guide3.asp#pp5http://www.circuitdesign.jp/jp/technical/DesignGuide/guide3.asp#pp5
諸外国のフリーライセンス・ラジオ制度
http://yasuo.k-server.org/FX886/hou.htm
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