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2011年12月31日 (土)

「そのチャンネルは見てません」と言わせないための装置??

 スーパーヘテロダイン受信機の局部発振回路からの漏洩局発信号(不要輻射)について調べていたら、一寸面白い資料(公開公報)がありました。
Local_osc_1
Local_osc_2

 明細書を斜めに見たところでは、御題目は以下のようになっています。
従来 → 表示されているチャンネル番号(リモコンキーID)と物理チャンネルの関係が固定されていないので、チャンネルプリセットに手間がかかっていた。
本発明 → TVから漏洩している局部発振信号の周波数成分(映像搬送波周波数+映像中間周波数)を検出し、この周波数に割り当てられている受信チャンネル番号を表示することにより、TVに近づけるだけで見ている物理チャンネルが判る。

 一見、調整治具のように見えますが、邪推すると色々応用方法がありそうです。
 説明では、UHF13~62チャンネルに対応となっています。
 明細書には実際に試作したと書いてありました。
  噂で聞いたことがある装置に対応するものかどうかは判りません。

  説明によれば、TVから1m以内に近づけて使用する必要があると書いてあるので、部屋(家)の外から受信チャンネルを検出するのは難しいかもしれません。
 また、最近は、入力信号の搬送波周波数と同じ周波数の局発信号を使用して、放送波の変調成分を直接ベースバンドに変換する「ゼロIF」(ホモダイン、シンクロダイン、ダイレクトコンバージョン)と呼ばれる技術もあるようなので、一概に局発周波数が受信周波数±VIFとは言えないかもしれません。

 局発信号が検出できれば、受信チャンネルを特定出来る可能があります。しかし、最近は訳が判らないノイズやスプリアスが飛び交っているので、特定周波数で信号が受信できたからといって、近くにあるTVが特定のチャンネルを受信しているとは限りません。
  上記公開公報にも複数の誤検出防止手段が設けられていますが、帯域制限やレベル判別だけでは区別は難しいように思われます。
 TVの電源をオフにして、あるいは、チャンネルを切り替えて、信号がなくなれば、ほぼ特定チャネルの漏洩局発信号であると考えられますが、状況的に考えてそのような確認方法は難しいかもしれません。

 想像で話をしてもあまり意味がないので、実際にTVの局発信号が外部から検出できるか試してみました。
 手元にあったアナログ放送用のTVを実験台にしました。なお、現在利用しているケーブルTVは地デジ放送をアナログ(NTSC)で分配するデジ・アナ変換方式を採用しているので、しばらくはアナログTVをそのまま使用することができるようになっています。
 このケーブルTVでは、たまたまUHFの17チャンネルでメンテナンス用のスペアナ画像(NTSC)を常時流しているので、このチャンネルを利用しました。
Ch17

 この17チャンネル(物理チャンネル)は、リモコン番号が7、表示番号が7となっています。
 また、17チャンネルの周波数は以下のようになっています。

UHF(地上波デジタル/地上波アナログUHF)バンド(by Wikipedia)
チャンネル番号  周波数範囲       中心周波数  映像周波数    音声周波数
17                  494~500 MHz   497MHz    495.25 MHz    499.75 MHz

  映像搬送波周波数が495.25 MHz なので、映像中間周波数が58.75でMHzで上側ヘテロダインであるとすると、局部発振信号の周波数は554.00MHz(=495.25+58.75)となります。
 したがって、TVの近くで554.00MHzの信号が受信できれば、そのTVは17チャンネルを受信している可能性が高いということになります。
 以下の条件で実験してみました。
 受信機:ICOM IC-R3 (周波数範囲 0.495~23450.095MHz)
  アンテナ:ICOM VHF/UHF Wide Band FA-4B
  TV:国産大手メーカー製 13インチ液晶アナログTV
 TV-アンテナ間距離:約30cm

 測定方法: IC-R3の受信周波数を554.00MHzに固定した状態で、TVの受信チャンネルを順次切り替えました。

 結果は上の動画の通り、表示番号が7(物理チャンネルは17)のときだけSメータが6まで振れ、それ以外のチャンネルでは全くSメータが振れませんでした。
 したがって、17チャンネル受信時の漏洩局発信号が検出されたと考えて良いと思います。
 現在放送されている地デジの変調方式はOFDMなので、アナログ放送のNTSCのような映像搬送周波数という概念はありませんが、ほとんどの場合に何らかの局発回路が存在すると思われるので、原理的には地デジの場合にも適用可能と思われます。

 なお、放送法 では、実際に放送を受信したかどうかには関係なく、「放送を受信することのできる受信設備を設置した者は・・・契約をしなければならない。」となっていますので、(TVは有るけど)「そのチャンネルは見てません」という議論は有効はどうかはわかりません。

【参考外部リンク】
(かなり旧聞になりますが・・・)
asahi.com 2011年11月16日19時26分
未契約5世帯を提訴 NHK、受信料支払い求める
http://www.asahi.com/national/update/1116/TKY201111160415.html

放送受信契約の未契約世帯に対する民事訴訟 初の提起について
http://pid.nhk.or.jp/jushinryo/pdf/teiso3.pdf

受信料の収納契約活動について(p5/5)
http://pid.nhk.or.jp/jushinryo/know/jushinryo_data.pdf

ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ資料編 - 物理チャンネル表
http://www.geocities.jp/bokunimowakaru/misc-ch.html

放送法 第六十四条 第一項
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html#1000000000003000000006000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
(受信契約及び受信料)
第六十四条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

【チューナ関連参考外部リンク】
ホモダイン方式 (homodyne system)
http://www.cqpub.co.jp/term/homodynesystem.htm

ダイレクト・コンバージョン方式 (direct conversion system)
http://www.cqpub.co.jp/term/directconversionsystem.htm

BS/CS 放送用Zero IF チューナIC
www.sony.co.jp/Products/SC-HP/cx_pal/vol68/pdf/cxa3685er.pdf

TDA8260TW - Satellite Zero-IF QPSK/8PSK downconverter with PLL synthesizer
http://pdf1.alldatasheet.jp/datasheet-pdf/view/84551/PHILIPS/TDA8260TW.html

【漏洩局発信号関連参考外部リンク】
Investigation of interference sources and mechanisms for Eurocontrol:
http://www.eurocontrol.int/sma/gallery/content/public/studies/Investigation%20of%20interference%20sources%20and%20mechanisms%20-%20Fin.pdf
Page 64 (71/149) - Page 65 (72/149)にFMラジオの局発信号による干渉の説明”7.5.5 Interference due to broadcast FM receivers”があります。

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