「ロクラクⅡ」による逸失利益の算出根拠は?
先日、番組転送に関する以下の記事を見かけたのですが、一寸気になることがありました。
YOMIURI ONLINE (2012年1月31日11時34分 読売新聞)
ネットでテレビ番組海外転送、2業者に停止命令
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120131-OYT1T00471.htm
この記事によると、「ロクラクを提供する日本デジタル家電(浜松市)には約1570万円の賠償」だそうです。
また、以下のニュースには「番組の放送回数や視聴率、サービスの契約数などを考慮して損害額を計算」と書いてあります。
朝日新聞デジタルニュース 2012年1月31日16時34分
TV番組の海外転送、2業者に賠償命令 知財高裁判決
http://www.asahi.com/national/update/0131/TKY201201310239.html
この損害額が具体的にどのような根拠で計算されたのか一寸興味がありました。
以下の判決を斜めにざっと見てみました。
平成24年1月31日 判決言渡
平成23年(ネ)第10011号 著作権侵害差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件
(最高裁判所平成21年(受)第788号事件の判決による差戻事件,差戻前の第2審・知的財産高等裁判所平成20年(ネ)第10055号,第10069号,第1審・東京地方裁判所平成19年(ワ)第17279号)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120201164305.pdf
38頁あたりから逸失利益の話がでてきますが、これが良く理解できませんでした。
wikipediaによれば「逸失利益(いっしつりえき、英: Lost profit)は、本来得られるべきであるにも拘らず、不法行為や債務不履行などで得られなかった利益を指す。得べかりし利益(うべかりしりえき)とも言われる。」と書いてあります。
逸失利益
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%B8%E5%A4%B1%E5%88%A9%E7%9B%8A
このような意味であれば、日常の感覚と同じであるように思われます。
判決では、放送回数、平均視聴率、原告東京各社のインターネット配信料金等の諸事情を総合考慮して以下の損害額が認定されたようです。
NHK 418万円
日本テレビ 144万円
TBS(脱退原告TBS承継分を含む。) 144万円
フジテレビ(脱退原告フジテレビ承継分を含む。) 132万円
テレビ朝日 138万円
テレビ東京 132万円
静岡第一テレビ 80万円
静岡放送 80万円
テレビ静岡 80万円
静岡朝日テレビ 80万円
総合考慮ということなので、判例の範囲では具体的な計算式は判りませんでした。
使用した具体的なパラメータや重み付けが判らないのはなんとなく釈然としません。
素人的には「ロクラクⅡ」がなければ、これだけの利益が得られたのか疑問に感じる部分もありますが、法律というのはそんなものなのでしょうね。
超乱暴かつ不正確にまとめると、「他人の褌で相撲を取る」(TV番組を転送して利益を得る)という行為はNGということのようです。
【参考外部リンク】
「ロクラク」
http://www.rokuraku.com/rokuraku.html
判例評釈~「ロクラクⅡ」事件控訴審判決(知財高裁平成21 年1 月27 日判決)
http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200905/jpaapatent200905_029-036.pdf
ITmedia ニュース 2011年01月19日 19時03分 更新
1対1通信のロケフリは「自動公衆送信装置」になりうるか 「まねきTV」最高裁判決の内容
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1101/19/news076.html
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