「光明星3号」の使用周波数はUHFとX-band?
以前、430MHz帯の衛星信号であれば、周波数と軌道(TLE)が判っていれば比較的簡単に受信できるという記事を見て、500円八木アンテナとIC-23(FM)/FRG-965(CW)の組み合わせで幾つかの衛星信号を受信したことがあります。
・500円八木アンテナで東大の衛星(PRISM)の電波を受信してみました 2009.02.12
http://kenshi.air-nifty.com/ks_memorandom/2009/02/500prism-d9bc.html
・航空高専衛星KKS-1のCWビーコンを受信してみました 2009.03.21
http://kenshi.air-nifty.com/ks_memorandom/2009/03/kks-1-f5a2.html
・遅まきながらSOHLA-1(まいど1号)のビーコンを受信しました 2009.04.25
http://kenshi.air-nifty.com/ks_memorandom/2009/04/sohla-1-9de0.html
地球観測衛星と称される「光明星3号」が4月12~16日に発射の予定のようですが、どのような周波数を使用するのか調べてみました。
過去に、「光明星1号」と「光明星2号」が打ち上げられたことになっているので、とりあえずこれらを調べてみました。
「光明星1号」
発射日:1998年8月31日
発射地:舞水端里
搬送体:「白頭山1号」(テポドン1号)
周波数:27MHzとされている (出典 http://www1.korea-np.co.jp/dprk/gms-1/eisei980928.htm)
模型の写真:
http://www.hellodd.com/IMAGE/NEWS/2009/04/20090402174647.jpg
「光明星2号」
発射日:2009年4月5日
発射地:舞水端里
搬送体:「銀河2号」(テポドン2号)
ビーコン周波数:470MHzとされている (出典 http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2009/04/0904j0405-00001.htm)
「光明星1号」は27MHz、「光明星2号」は470MHzということのようですが、いずれも微妙な周波数のような気がします。
27MHzというとすぐにCB無線を連想してしまいます。この周波数であれば部品やセットの入手が簡単です。
http://korean.alibaba.com/products/27mhz-cb-radio.html
また、27.12MHzはISMバンドなので、出力数キロワットのRF発生装置もあります。
http://www.ulvac-es.co.jp/corporate/html/products/compo/seigyo/rf.html
27MHzでは周波数が低いような気がしますが、中国最初の人工衛星「東方紅1号」が打ち上げられたときは、20.009MHzで『東方紅』のメロディーが送信されたようです。
中国が最初の人工地球衛星の打ち上げに成功 -- pekinshuho
http://japanese.beijingreview.com.cn/zt/txt/2010-10/26/content_306273.htm
Sound From Space
Radio signals from various satellites recorded near Stockholm, Sweden:
http://www.svengrahn.pp.se/sounds/sounds.htm
Chinese spacecraft
China 1, tone telemetry and tune "The East is Red", 20.009 MHz, 25 April, 1970 (97 kB, mp3)
http://www.svengrahn.pp.se/sounds/CHINA1.mp3
(昔、SWLの時に聞いた「こちらは北京放送局です」を思い出します)
次に470MHzですが、この周波数は韓国(日本)のUHFテレビバンドの下端周波数で、かつ、業務・レジャー用(?)のUHFトランシーバの周波数バンド(非アマチュア無線バンド)の上端周波数になっています。
http://korean.alibaba.com/products/450--470mhz.html
この470MHzという周波数も部品やセットの入手が容易という点では27MHzと似ているかもしれません。
「光明星2号」の打ち上げの際には世界中で聞き耳を立てたことと思いますが、結局当該国以外の公式の受信報告はありませんでした。
http://www.norad.mil/News/2009/040509.html
ところが、韓国のDaumの掲示板の書き込みを見ていたら、信頼性は限りなくゼロに近いように思われますが、「受信報告」がありました。
たんなるイタズラの書き込みか、あるいは、イタズラで送信された偽信号を本物と誤認したのかは判りません。
なお、アマチュア無線のDX Pedition等では、偽信号が送信されるのは珍しいことではないようです。衛星信号の場合は、フェーディングやドップラーシフトはどうにかなりそうですが、方位や仰角を偽装するのは難しいかもしれません。
Daum
???? ??!!!!(UHF 470Mhz)
http://blog.daum.net/_blog/BlogTypeView.do?blogid=0F1ZG&articleno=12412614
[Google翻訳]
衛星放送受信に成功!!(UHF 470Mhz)
http://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=ko&u=http://blog.daum.net/_blog/BlogView.do%3Fblogid%3D0F1ZG%26articleno%3D12412614&ei=QKpzT8qwBe_4mAWv2oWiCA&sa=X&oi=translate&ct=result&resnum=1&ved=0CCgQ7gEwAA&prev=/search%3Fq%3D%25EC%259C%2584%25EC%2584%25B1%25EC%2588%2598%25EC%258B%25A0%2B%25EC%2584%25B1%25EA%25B3%25B5!!!!(UHF%2B470Mhz)%26hl%3Dja%26rlz%3D1T4GGHP_jaJP422JP422%26prmd%3Dimvns
肝心の「光明星3号」ですが、先日のニュースによれば以下の写真のような格好をしているようです。
http://archivenew.vop.co.kr/images/25bb784a487b35dde36eebf4c5852005/2012-04/09112407_zz2.jpg
http://image.donga.com/photo/udata/photonews/image/201204/09/20120409018/20120409018_1.jpg
「光明星3号」で使用される可能性がある周波数を調べていたら、以下のような記事がありました。
NORTH KOREA TECH
Exclusive: DPRK satellite to send data, video
http://www.northkoreatech.org/2012/03/20/itu-confirms-dprk-satellite-launch-plans/
この記事によれば” The satellite will broadcast remote data in the UHF band and video in the X-band, the ITU quoted the DPRK’s notification as saying.とのことです。
“remote data”いうのはリモートセンシングのデータのことでしょうか?
ビデオはX-バンドで送信されるようですが、韓国のKSLV-1の1回目の打ち上げのときのように、あとでオンボードカメラの映像を見たりすることができるのでしょうかね?
http://www.kari.re.kr/bbs/movie.asp?idx=10691
詳細が発表されていなので、テレメトリやビーコン(もしあるとすれば)の周波数が判りませんが、もし「光明星3号」は470MHz(UHF)ということであれば、衛星が周回軌道にのった場合には、なんらかの信号(搬送波)が受信できるかもしれません。
【参考外部リンク】
韓国(大韓民国)の人工衛星
http://ask.nate.com/knote/view.html?num=1255107
この資料によれば、以下の周波数(帯)が使用された可能性があるようです。
アマチュアバンドも含まれています。
145.90, 145.85 MHz
435.175 MHz
145.98, 145.87 MHz
436.50 MHz
148 MHz
401 MHz, 2.2 GHz, 8.2 GHz
S-band U/L : 9.6kbps
S-band D/L : 38.4kbps
X-band D/L : 10Mpbs
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