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2012年10月16日 (火)

[HNL6]ホノルルで米国本土の標準電波WWVB(60kHz)の受信に挑戦しましたが・・・・

 現在使用している電波腕時計CASIO PROTREK 3069*JA (PRW-1300ARJ)は、JJY(40kHz/60kHz), WWVB(60kHz), MSF(60kHz), DCF77(77.5kHz)に対応しています。

  3069*JA 操作説明書
  http://ftp.casio.co.jp/pub/manual/ww/qw3069.pdf

 ホームタイムはTYOに設定しているので、通常は当然JJYしか受信しません。
 今回、ハワイに行くことになったので、もしかしたら米国本土の標準電波WWVB(60kHz)を受信することができるのではないかと、淡い期待を持って実験してみました。
 成功の可能性がゼロと思われる実験をしても実りが少ないので、ネットで情報を調べてみたら以下のような記事がありました。

 ‘Atomic’ clocks are not as effective in Hawaii
  http://archives.starbulletin.com/2005/08/21/news/kokualine.html

 この記事によれば、so-called "atomic clocks" might not work in Hawaiiとなっています。
 下記のサイトによればmightの確率は50%程度のようなので、受信が完全に不可能というわけではないようです。
 なお、ここで云う‘Atomic’ clocksは所謂電波時計のことです。

  助動詞 auxiliary verb:推量の助動詞
  http://www.alc.co.jp/eng/grammar/kaisetsu/grammar23.html

 しかしながら、記事の内容を見る限りでは、受信できるかもしれないというニュアンスはあまり感じられません。
 WWVBのサービスエリアを調べてみると、時間帯によってはかなり太平洋の方向にも広がっています。

  NIST Radio Station WWVB
  http://www.nist.gov/pml/div688/grp40/wwvb.cfm

  WWVB Coverage Area
  http://www.nist.gov/pml/div688/grp40/vb-coverage.cfm

  さらに調べてみると、以下の資料にハワイでも受信できそうなことが書いてありました。

  WWVB Radio Controlled Clocks:
  Recommended Practices for Manufacturers and Consumers (2009 Edition)
  http://tf.nist.gov/general/pdf/2422.pdf

 上記URLから抜粋引用
  **************************************
  The station continuously broadcasts a 70 kW signal at a
  frequency of 60 kHz that covers the Continental United States (CONUS),
  and also reaches Alaska and Hawaii during the nighttime hours.
  **************************************

 また、3069*JAの操作説明書には、「HKG、HNL、ANCの各都市は、受信機能対応都市としています。条件が良ければ受信する場合もあります。」と書いてありました。

 なお、NISTのサイトにに電波時計の製造業者のリスト(CASIOも含まれていました)が記載されているのですが、これをみると長波のみのものよりもGPS併用あるいはGPS単独のものの方が多いようです。

  Manufacturers of Time and Frequency Receivers
  http://www.nist.gov/pml/div688/grp40/receiverlist.cfm

 ColoradoのFort Collinsからの 70KW(ERP)の60kHzの信号の電波伝播特性がどのようなものかはよく判りませんが、実験にそんなに手間がかかる訳でもないのでCASIO 3069*JAで試してみました。

 準備として日本で最後にJJYによる時刻較正が行なわれたデータを確認しました。
【現在(撮影時刻):9月25日11時25分JST】
3069ja_1

【最終較正時刻:9月25日10時12分JST】(手動受信で強制較正)
3069ja_2

 ホノルル到着後、取りあえず時計表示を現地時刻にするために、ホームタイムをHNLに設定し、ワールドタイムをTYOに設定しました。

【ワールドタイム:TYO】
3069jatyo

 なお、3069*JAでは、HKG,HNLの各都市の自動受信の設定は、工場出荷時にはOFFになっているので、手動で自動受信ONにする必要があります。

 昼間はWWVBを受信できる可能性は少ないように思われたので、電波伝播の状況がよく、また、都市雑音が減少すると思われる深夜(3AM-4PM頃)に受信してみました。
 腕時計はホテルの8Fのラナイの椅子の上に置きました。ラナイはダイヤモンドヘッドが正面に見えているので南東の方に向いており、米国本土とは逆の方です。受信場所としてはあまり条件がよくありません。

 最初に、強制受信(手動受信)の状態に設定して数分間様子をみましたが、受信状態レベル表示はゼロのままでした。3時間程度放置しましたが、残念ながら受信できませんでした。二日間試してみましたがやはり駄目でした。

【9月28日6時36分(ハワイ時間)】
3069ja_hnlhome_2

【最終較正時刻は9月25日10時12分】
3069ja_last_calib

 9月28日(ハワイ時間)の時点で最終較正時刻は9月25日10時12分となっておりJJYによる較正時刻から変化がありません。信号マークが消えているので過去24時間以内に標準電波は受信されていないということになります。

 日本のJJYでも窓際の時計でも受信できないことがあるので、数千キロ離れた信号を受信するのは難しいかもしれません。
 後で気がついたのですが、WWVBのサービスエリアの時間変化を見ると、0200UTC-1000UTCの時間帯で面積が広くなっていますが、ハワイ時間(UTC/GMT-10)では1600-0000となるので、時刻の選択が適切でなかったのかもしれません。

  これも後で調べて判ったのですが、以下の資料によれば、ハワイでのWWVBの電界強度の変化は非常に大きいようなので、受信できるかどうかは運次第ということでしょうか?
 短波(WWVH)の場合には約20000Km離れた場所からの受信報告もあるようですが・・・

  NIST Special Publication 432, 2002 Edition
  NIST Time and Frequency Services Michael A. Lombardi
  http://tf.nist.gov/general/pdf/1383.pdf

   Chapter 2
   Synchronizing the Nation’s Clocks:
   NIST Radio Station WWVB
   WWVB Coverage Area
   TABLE 2.4 - ESTIMATED SEASONAL SIGNAL STRENGTH OF WWVB, μV/M (p.22)

   Chapter 3
   Time Signals You Can Hear:
   NIST Radio Stations WWV and WWVH
   Page 28:"WWVH has received reports from as far away as South Africa, a distance of 19,300 km(12,000 miles) from Hawaii."(p.29)

 また、短波ラジオでチェックしてみると、かなりのノイズと強力な中波AM放送の混信があったので、電波環境的にはかなり厳しかったのかもしれません。

【参考外部リンク】
(WWVBではなくてJJYですが・・・)

JJY受信電波時計がハワイで動作!?
http://optik2.mtk.nao.ac.jp/~iye/papers/wabun/iyew172.pdf
http://optik2.mtk.nao.ac.jp/~iye/papers/article/200412%20JJY%20172.pdf

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