RTLチューナ付属アンテナをADS-B(1090MHz)用コリニアアンテナに改造してみました
RTLチューナ(DVB-T+DAB+FM R820T)に付属している全長約12cmのホイップアンテナでもADS-Bの信号を結構拾ってくれます。
受信できるとは言ってもアンテナの設置場所が2F北側べランダのエアコン室外機の上なので、フェンスの高さより低いし、隣の鉄筋の建物が眼の前に迫っているという劣悪(?)な受信環境なので、たかが知れていますが・・・
チューナの仕様をみると受信可能な周波数は以下のようになっています。
RTL2832U + R820T Mini DVB-T + DAB+ + FM USB Digital TV Dongle - Black
http://dx.com/p/rtl2832u-r820t-mini-dvb-t-dab-fm-usb-digital-tv-dongle-black-170541
DVB-T:48.25-863.25 MHz
FM radio: 87.5-108 MHz
DAB+ radio:
L-band: 1452960-1490624 KHz
Band Ⅲ:174928-239200 KHz
付属のアンテナは、48MHz~1.49GHz対応の超広帯域対応ということになるのでしょうか?
専用の(固定波長の)アンテナを使用すれば受信距離が延びるのではないかと思って一寸調べてみました。
参考になりそうなものがいくつかありました。
RTL-SDR Tutorial: Cheap ADS-B Aircraft RADAR
http://www.rtl-sdr.com/adsb-aircraft-radar-with-rtl-sdr/
このサイトでは以下のアンテナが紹介されていました。
Collinear Coax Antenna
Collinear Wire Antenna (Wi-Fi 802.11b/g)
Wine Cork Dipole Antenna
Quarter Wave Ground Plane Antenna
J-Pole Antenna
PCB Antenna
以下は、上記サイトで紹介されていたアンテナのリンク先のサイトです。
Coaxial Collinear Antenna for ADS-B Receiver.
http://www.balarad.net/
Discone Vs. Homemade Collinear for ADS-B
http://www.rtl-sdr.com/discone-vs-homemade-colinear-for-ads-b/
Home-brew Compact 6dBi Collinear Antenna (Wi-Fi 802.11b/g)
http://martybugs.net/wireless/collinear.cgi
ADS-B wine cork antenna
http://antirez.com/news/46
MY FIRST ADS-B ANTENNA
http://www.atouk.com/wordpress/?wpdmact=process&did=Ni5ob3RsaW5r
Simple ADSB J-pole antenna
http://www.lll.lu/~edward/edward/adsb/antenna/ADSBantenna.html
Antenne PCB 1090 MHz / 1090 MHz PCB antenna
http://f5ann.pagesperso-orange.fr/AntennePCB-1090MHz/index.html
Antenne Strip-line1090 MHz
http://f5ann.pagesperso-orange.fr/AntenneStrip-line1090MHz/index.html
以下は、上記のrtl-sdr.comのサイト以外のサイトで紹介されていたアンテナです。
An SDR Dongle
http://ab1jx.webs.com/toys/dongle/index.html
The Development of the FPGA Based ADS-B Receiver and Decoder
http://www.qsl.net/dl4mea/fpgaadsb/fpgaadsb.htm
How tu build antenna for sbs-1?
http://www.kineticavionics.co.uk/forums/viewtopic.php?f=1&t=7489&sid=a97d41478e66511dd5cf715ee7c88df0&start=24
miniADSB
http://miniadsb.web99.de/
Home Made Antennas (Link)
http://www.radarspotters.eu/forum/index.php?topic=250.0
ADS-B Decoder and Software
http://www.sprut.de/electronic/pic/projekte/adsb/adsb_en.html
ADS-B1090MHz用アンテナ2基製作 RTL-SDR用 ②5/8λ Brown Antenna
http://blog.livedoor.jp/bh5ea20tb/archives/4289644.html
半田最小限改め!半田なしでADS-B用多段コリニアアンテナを作るHP発見(N先輩情報提供)半田なしでも作れます。
http://blog.livedoor.jp/bh5ea20tb/archives/4491779.html
Happy Clover 南西 ADS-B受信・コリニアアンテナ製作
http://happycloversw.blog129.fc2.com/blog-entry-135.html
Happy Clover 南西 ADS-B用・10段コリニアアンテナ製作
http://happycloversw.blog129.fc2.com/blog-entry-138.html
ADS-B受信を楽しむ
http://nonchansoft.my.coocan.jp/audio/adsbnew1.htm
これらの記事を見てみると、どうもコリニア(Collinear)アンテナが良さそうです。
コリニアの意味を調べてみました。
英辞郎
http://eow.alc.co.jp/search?q=collinear&ref=sa
collinear
【形】
共線的{きょうせん てき}な、同一(直)線上{どういつ(ちょく)せんじょう}の、共線{きょうせん}の
図面や写真を見ると確かに同一直線状に並んでいます。
上記記事を見た範囲では、コリニアアンテナには以下の二つのタイプがあるようです。
(a)同軸ケーブルをぶつ切りにして、ケーブルの芯線とシールド線を隣のケーブルのシールド線と芯線にそれぞれ接続して位相反転するタイプ
(b)1本のワイヤの途中にループを形成して位相反転するタイプ
製作記事を見てみると(a)のタイプが多いようですが、一寸面倒そうです。
当方は、「なるべくを手を抜いてそこそこの効果を」というズボラな性格なので、製作が簡単そうな(b)のタイプ(ワイヤタイプ)のコリニアアンテナを実験用に作ることにしました。
ワイヤタイプの製作記事は幾つかありましたが、エレメントの長さやループの径が色々です。
以下の数値は、アンテナ上部から、垂直エレメントの長さ/位相反転ループの直径/垂直エレメントの長さ/位相反転ループの直径/垂直エレメントの長さ/ラジアルの長さ(半径)です。
http://www.sprut.de/electronic/pic/projekte/adsb/adsb2.gif
(130mm/φ40mm/130mm/φ40mm/130mm/半径130mm金属円板)
http://www.qsl.net/dl4mea/picadsb/adsb-ant-drawing.gif
(190mm/φ10mm 1.5T/205mm/φ10mm 1.5T/136mm/196mmx4
http://tech-software.net/1090_ant_02.JPG
(190mm/φ20mm/205mm/φ20mm/136mm/半径130mmアルミ円板)
http://www.airlomba.net/RADAR/coverage/myAnt_v1_specs.jpg
(193mm/φ20mm/206mm/φ20mm/187mm/140mmx4)
今回は、一番下の”How tu build antenna for sbs-1?”に記載の寸法を参考にしました。
これを選んだのは、写真があるのでjust ideaではなさそうなことと、作り易そうだったためです。
なるべく手抜きでという方針に従って、RTLチューナに付属していたアンテナの基台を利用して、オリジナルのホイップアンテナの代わりに、自作のコリニアアンテナを取り付けることにしました。
基台にはビスの頭が埋め込まれており、このビスにアンテナエレメント下部に固定された雌ねじをねじ込むようになっています。
自作アンテナをビスの頭に直接固定するのは一寸難しいので、ホームセンターでビスの径(3mm)に合う高ナット(150円/6個)を買ってきて、この高ナットに自作アンテナのエレメントを固定することにしました。
【高ナット(3mmx20mm 0.5mmピッチ】(2個使用済みなので4個残っています)
次にアンテナのエレメントですが、製作記事で使用されていることが多い3mm径の銅線は折り曲げ加工に結構苦労するので、2mmのものを使用したかったのですが、近所の電気屋には10m巻きのものしかなく、結構なお値段がします。
今回は実験用ということもあって、安い1.6mmのすずメッキ線を使用しました(900円/10m程度)。
1.6mmだと腰がないので綺麗な直線にするのは難しいですが、加工は楽です。
最初に1m程度に切断して、製作記事に記載の寸法通りの位置に二つループを形成し、先端を全長を合わせて切断し、基端を若干ジグザグに曲げて高ナットに差し込んで出来上がりです。今回は実験用ということで、半田付けは省略しました。また、ラジアルエレメント(グランドプレーン)も省略しました。
なお、アンテナ先端の黄色いビニールテープは危険防止用です(夜間作業時にはアンテナ先端が見え難いので)。
オリジナルのチューナ付属のホイップアンテナと自作のコリニアアンテナの受信の様子をadsbSCOPEで比較してみました。
なお、飛行データは、同じような天気(晴天ないし曇天)の連続した二日の正午から午後10時までの各10時間分のものです。
手すりにアンテナを取り付けることは禁止されているので、エアコンの室外機の上に設置しました。
写真の真ん中のアンテナがADS-B用です。両側のアンテナはアマチュア無線用(144/430MHz)です。
【adsbSCOPE E-W:404NM (ホイップアンテナ)】
【adsbSCOPE E-W:404NM (コリニアアンテナ)】
【adsbSCOPE E-W:25NM (ホイップアンテナ)】
【adsbSCOPE E-W:25NM (コリニアアンテナ)】
見かけは頼りないですが、受信距離がホイップアンテナの約2倍になっています。また、羽田空港近くの信号も沢山拾っているようです。
200円以下の改造費(高ナット1個:25円、すずメッキ線1m:約100円)でこれだけ改善されるのであれば、結構コストパフォーマンスが高いかもしれません。
ただし、当方のように受信環境が劣悪な条件では効果が大きいけれども、もともとローケーションが良いアンテナの場合は、改善の程度は少ないかもしれません。
強度も耐候性もないので、実験程度にしか使えませんが、コリニアアンテナの雰囲気が判ったので、そのうちもう少しまともなものを作ってみたいです。
| 固定リンク
「無線」カテゴリの記事
- MRI検査受診時の熱感の原因は?(2021.11.15)
- レーダー用マイクロ波で溶けたのはチョコバーではなくpeanut butter candy barだった?(2021.08.26)
- Intel Drone Light Show Premiumの費用と仕様(2021.07.26)
- 電波法第59条の「傍受」が狭く解釈された判例(2021.07.24)
「航空機」カテゴリの記事
- 運が良ければ横田基地「日米友好祭2022」でAF1が見えるかも???(2022.05.21)
- Air Seoulの無着陸高松周回飛行(RS777)(2021.09.12)
- Air Busanの無着陸西九州遊覧飛行(BX1065)(2021.09.11)
- 韓国の「無着陸フライト」の運航予定(2021.08.29)
- 今日の都心上空はヘリが一杯(2021.08.24)
「SDR」カテゴリの記事
- SDR TouchがHackRF対応になっていました(2019.05.18)
- SDRUNO V1.3で周波数スキャンが可能になりました(2019.03.17)
- ハワイでJJYのモールスを受信(2018.12.22)
- ハワイアン航空はラジオはNGですがGPSはOK(2018.12.01)
- 300φ88tのループアンテナとSDRPlay RSP2でBPC(68.5kHz)を受信(2018.11.16)
「ADS-B」カテゴリの記事
- UFOを追跡するNINJA?(2022.06.13)
- 謎のUFO”Crazyearthlings 52”は頻繁に世界各地に出没?(2022.06.06)
- ADS-B搭載のUFO?(2022.05.20)
- 空中給油?(2022.05.18)
- dump1090のCSVからGoogle Earth上に送信点をプロット(2022.05.02)
コメント
Kさん
ADS-Bの楽しい記事拝見させていただいております。
今回の付属簡易アンテナの改良は実に興味深いものです。自分もADS-B 1090MHz
omni directional stacked antenna G7RQG
を作ったことがあります。ホイップに比べ感度が良いのですが、1090MHzのアンテナに比べ長さがあり高く設置できなかった経緯があります。
さて、同タイプのコリニアアンテナを付属簡易アンテナに応用したのは画期的ですね、受信距離も伸びているようで感動しました。自分もチャレンジしてみたいと思います。問題は、マグネットの強度ですね!
最後に、ブログを是非リンクさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?
よろしくお願いいたします。
投稿: ゆうちゃんのパパ | 2013年11月 3日 (日) 12時15分
"ゆうちゃんのパパ"さん" こんにちは。
はじめまして。Kです。
いつも記事を拝見させて頂いております。
ADS-Bの記事を見て嵌ってしまいました。
一寸前のネット情報を見るとADS-Bの受信に10数万円掛かっていたようですね。
専用機なので多分性能や操作性が優れているのでしょうが、今では1000円弱で結構楽しめるレベルになっているので、技術の進歩がすごいです。
当方もアンテナを色々実験しているのですが、なかなか期待したような効果が得られません。
目標は羽田空港(当方から南方向)の滑走路の信号を拾いたいのですが、南北をビルに挟まれたロケーションでは難しいかもしれません。
付属簡易アンテナのマグネットの件ですが、小さいものが使用されているようなので、100円ショップで売っているもう少し大きなものと交換するという手があるかもしれません。
なお、リンクはもちろん結構です。
これからもよろしくお願いいたします。
投稿: K | 2013年11月 4日 (月) 00時08分
Kさん
リンクの承認ありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。
そうですね、ADS-Bの受信には、お金が掛かるというのが今までの通説でしたが、RTL-SDRのおかげでハードルが低くなり沢山の方が楽しんでいらっしゃいます。このような使い方を発見、公開していただいた諸先輩に感謝ですね!
さて、やはりSDA-Bは、周波数が高いのでアンテナが非常に需要です。自分のブログに寄せられたアンテナの情報では、同軸ケーブルで製作する多段コリニアアンテナ(9段)と1λヘンテナが非常に良い結果を出しています。ただ多段コリニアは長さがあるためそれなりの設置場所が必要ですが、ヘンテナはとても小さく出来るので高い場所に設置できます。お時間のあるときにでもお試しください、また、このところチューナーの周波数安定に努めていたのですが、何とか目途がたちそうなので、これからADS-Bのアンテナ改善進めていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: ゆうちゃんのパパ | 2013年11月 4日 (月) 08時12分
アンテナの情報を有難うございます。
ヘンテナは今まで作ったことがないのですが、試してみたいと思います。
投稿: K | 2013年11月 4日 (月) 08時31分