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2015年3月28日 (土)

DVB-T+DAB+FMチューナで1090MHzの微弱信号を発生させてみました(VCO Ver.)

 DVB-T+DAB+FMチューナ(R820T+RTL2832U)のアンテナ端子から1090MHzの局発信号が漏洩していることは確認できましたが、このままではアンテナのテストに利用できそうにもありません。

  R820Tのデータシートで、局発信号の漏洩経路を想像してみました。

  Rafael Micro
  R820T
  High Performance Low Power Advanced Digital TV Silicon Tuner Datasheet
  http://superkuh.com/gnuradio/R820T_datasheet-Non_R-20111130_unlocked.pdf

  Figure D:Simplified R820T Block Diagramを見ると、周波数変換回路関係の回路ブロックは以下のようになっています。

   RF_IN→LNA→RF_Filter→Mix→IF_Filter→(fIF=3.57MHz)
    (fRF)                              ↑
                          Div(fLO=fVCO/N)
                                         ↑
                                        VCO (fVCO)          

 漏洩経路としては、VCO→Div→Mix→RF_Filter→LNA→RF_IN という経路が考えられますが、LNAは逆向きのバッファ(アイソレータ?)として動作するように思われるので、この経路での漏洩は少ないのかもしれません。
 一般的には配線(パターン)間の容量結合が問題になることが多いので、こちらの方が原因かもしれません。
 データシートの 4.2 Application Notes にもRF tracesやcrystal tracesについての注意書きが色々書いてあります。

  上記のデータシートでは、VCOの発振周波数やPLLの分周比が判りませんが、関係がありそうな以下の記事がありました。

  Mobile Osmocom SDR
  Using the R820T above 1.77 GHz?
  http://t142.mobile-osmocom-sdr.mobiletalk.us/using-the-r820t-above-1-77-ghz-t142.html

 上記URLから抜粋引用
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  From the source code, it looks as if the VCO runs in the range 1.77 to 3.54 GHz. The actual mixer frequency sent to the IF stage is the VCO frequency divided by a number between 2 and 63 -- so the possible center frequency tuning range ends up being in the range of ~24 MHz to 1.77 GHz.
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  これによれば、VCOの周波数は1.77~3.54GHz、分周比は2~63、受信周波数は24MHz~1.77GHzのようです。

 VCOの出力を分周する分周器(Div)の出力(ミキサへの入力)が目的周波数の局発信号ですが、チップの外に直接取り出すことができません。
  もともと局発信号は極力外部に漏洩しないように設計されている筈なので、局発信号を利用することにかなり無理がありますが、下記の記事によれば、無線で1270MHzの信号を飛ばしているようなので、工夫すればどうにかなるのかもしれません。
 
  OH2FTG Labs
  RTL-SDR Transmitter experiments
  https://sites.google.com/site/oh2ftg/home/rtl-sdr-transmitter-experiments

 この記事には以下のような記載があります。

 上記URLから抜粋引用
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Interestingly the 4th "harmonic" of the frequency at the mixer leaks the best, this is likely result of the LO actually being on a higher freq inside the tuner and then divided to get the I and Q LO's
So the strongest output is at <transmit frequency>/4 - 3.57 MHz.
Also quite interestingly there is strong LO leakage at the VCC input of the tuner.
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 実験の動画ではかなりのレベルで受信できているようです。

 RTL-SDR Transmitting on 1270MHz .

  基板のどのポイントから信号を取り出しているのかはよく判りませんが、OH2FTG氏のサイトに書かれていた以下の点を参考にして、色々試してみました。
 (a)最も強い出力の周波数は、送信周波数/4-3.57MHzである。
  (b)チューナのVCO入力に強い漏洩局発信号が存在する。

  RTL-SDRチューナでは、VCOの出力を1/4に分周して局発信号(ミキサへの入力信号)を生成しているようなので、VCOの出力の出力が最も強いようです。

 RF周波数をfRF、IF周波数をfIF、VCO周波数をfVCO、局発(分周後)周波数をfLO、分周比をN、ヘテロダインは上側とすると、以下のようになります。
  fLO-fRF=fIF
    fLO=fVCO/N
  従って、
    fVCO/N-fRF=fIF
  fRF=fVCO/N-fIF
となります。

 局発(分周後)信号を利用して1090MHzの信号を発生させる場合には、
  fLO-fRF=fIF
  fRF=fLO-fIF=1090MHz-3.57MHz=1086.43MHz
となるので、送信用受信機の受信周波数は1086.43MHzとなります。
 先日の実験で、送信用受信機の受信周波数を1086.43MHzにすれば、送信用受信機で1090MHz付近の信号が受信できることは確認しました。

 これに対してVCO(分周前)信号を利用して1090MHzの信号を発生させる場合には、
  fRF=fVCO/N-fIF =1090MHz/4-3.57MHz=268.93MHz
となります。
 OH2FTG氏の説明によれば、この信号の方が強いはずなので、実際に受信してみました。
 実験条件は前回と同じです。
  なお、正確な周波数較正はしていませんので、数値は目安です。

【送信用受信機(Nexus 7)の受信周波数:1086.43MHz】
Transmitting_receivernexus_7108643m

【受信用受信機(Hyundai T7)の受信周波数:1090.03MHz】
Receiving_receiverhyundai_t7109003m


【送信用受信機の受信周波数:268.93MHz】
Transmitting_receivernexus_726893mh

【受信用受信機(Hyundai T7)の受信周波数:1090.07MHz】
Receiving_receiverhyundai_t7109007m

  VCO出力を分周した後の出力(低調波?)を利用した場合の信号の値が-14dBであるのに対して、VCOの原発振出力を利用した場合の信号の値が-10dBとなっています。
 数値の正確な意味はよくわかりませんが、VCOの原発周波数(局発周波数から見れば4次高調波?)の信号の方がかなり強いようです。
 
 実験では両方のチューナのアンテナ端子間を直結しましたが、両方に簡易アンテナを接続した状態でもどうにか受信できているので、希望的観測ですが、局発信号の取り出し方を工夫すればどうにかなるかもしれません。
 

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