インダクタに液体金属を使った可変共振型ステルスシート
ネットニュースで以下のような記事を見かけました。
Newsweek
「光学迷彩」も実現できる? レーダーから見えなくなる新素材
Meta-skin technology
アイオワ州立大学の研究チームが「メタスキン」を発表
2016年3月29日(火)16時00分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4783.php
ITmedia ニュース
2016年03月10日 15時58分 更新
“ステルス人間”が実現する? レーダー波を抑える「メタスキン」、米大学が開発
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1603/10/news116.html
【科学ニュース】レーダー波の反射を抑止する“メタスキン”
http://www.kagaku-kentei.jp/news_detail/data/244
無線がらみということで、素人無線家の好奇心で一寸調べてみました。
ソースと思われる資料をざっと見てみました。
From Flexible and Stretchable Meta-Atom to Metamaterial:
A Wearable Microwave Meta-Skin with Tunable Frequency Selective and Cloaking Effects
http://www.nature.com/articles/srep21921
シート上に多数のリング状の共振器を配置し、共振器のインダクタ(L)を液体金属で形成することにより、シートの伸縮に応じて共振周波数を変えることができるようになっているようです。
Figure 3に、引き延ばした時の共振周波数の変化のグラフがありますが、低いほうに変化しています。
「シートを引っ張る→リングが伸びる→コイルの断面積が増える→インダクタンスが増える→共振周波数が下がる」という仕組みのようです。
リングが伸びるとリング先端の対向部分の静電容量(C)は減るように思われますが、Lの変化の影響が支配的であると思われます。
この種の技術は、レーダーに対する対抗手段(ECM:Electronic Counter Measures)の一種だと思いますが、ECMに対抗するECCM、ECCMに対抗するEC...CM(?)があるようなので、いたちごっこかもしれません。
発表された内容の場合には、共振周波数は物理的サイズで決まるので、レーダーの送信周波数がダイナミックに変更される場合には、対応が難しいかもしれません。
チャフの場合には、レーダー周波数を検出してカッタを制御し、共振する長さに自動的に切断するものもあるようです。
【参考外部リンク】
TDK Magazine > エレクトロニクス入門 >
インダクタ編 No.1「インダクタの基礎知識①」
http://www.tdk.co.jp/techmag/electronics_primer/inductor_vol1.htm
99.99%5nガリウムインジウムスズ合金
http://japanese.alibaba.com/product-gs/99-99-5n-gallium-indium-tin-alloy-1405938195.html
Electronic counter-countermeasure (ECCM)
https://en.wikipedia.org/wiki/Electronic_counter-countermeasure
チャフ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%95
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