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2017年2月11日 (土)

ATSC用USBチューナテスト@ホノルル

  現在行われているデジタル地上TV放送(DTTB:Digital Terrestrial TV Broadcasting)にはいくつかの方式があります。

  Digital terrestrial television - Wikipedia
  https://en.wikipedia.org/wiki/Digital_terrestrial_television

 代表的なものとして、以下の三つの方式があります。

  (1) ATSC: Advanced Television System Committee
  (2) DVB-T: Digital Video Broadcasting Terrestrial
  (3) ISDB-T: Integrated Service Digital Broadcasting - Terrestrial

 大雑把な説明ですが、ATSCは米国方式、DVB-Tは欧州方式、ISDB-Tは日本方式ということになります。
 各方式にはそれぞれ特徴があります。
 どの方式を採用するかは、各国の事情によって違ってきます。

 一寸内容が古いかもしれませんが、DiBEG(http://www.dibeg.org/aboutus/aboutus.html)の資料に3方式が比較されています。

    Digital Broadcasting Experts Group (DiBEG)
  Comparison of 3 DTTB systems
  http://www.dibeg.org/techp/3comp/3comp.html

 上記のComparison of 3 DTTB systemsの比較表(Table 1: Broadcasting service of 3 DTTB systems)や説明を見ると、ISDB-T以外の採用はあり得ないような雰囲気です。
  資料の性質(プロモーション)から考えて、自己方式の利点が強調されるのは当然ですが、あまり客観的ではないような気がしないでもありません。

 一寸古いですが、以下の資料の表1でも同様な感じになっています。

    NEC技報Vol.57 No.4/2004
    地上デジタル放送の動向
    http://jpn.nec.com/techrep/journal/g04/n04/pdf/t040402.pdf

 現状はどうなっているのかと思って調べてみると、以下のような資料がありました。

  デジタル放送の現状
  (2015年12月調査)
  http://www.soumu.go.jp/g-ict/item/digital/

  地上デジタル放送日本方式の 国際展開について - JTEC | 一般財団法
    平成22年6月2日 (2010)
  http://www.jtec.or.jp/icttrend/pdf/2010-01kouenkai-makiguchi.pdf

 ざっと見た感じでは、採用の国数ではDV B-Tが優勢な感じです。

 各方式の比較表を見ると、ATSCの移動体受信に関する評価が悪いのが気になります。

 比較表では、ISDB-T(○)、DVB-T(△)、ATSC(×)(DiBEGの資料ではimpossible)となっています

 移動体受信に関する評価の差異は、放送方式の仕様に関係していると思われるので、調べてみました。

 下記資料の表1には、各方式の技術的条件が書かれています。

  世界のデジタルテレビ放送と東芝の取組み
  東芝レビューVol.63 No.6 (2009)
  https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2008/06/63_06pdf/a06.pdf

 変調方式を見ると、ISDB-TがOFDM、DVB-TがCOFDM、ATSCが8VSBとなっています。

  OFDM:orthogonal frequency-division multiplexing
  COFDM:coded OFDM
  8VSB:8-level vestigial sideband modulation

 この資料には、移動体受信に関する直接的な記載はありませんが、以下のような説明があります。
  マルチキャリア→マルチパス妨害に強い
  シングルキャリア→平坦で広大な地域向けに適する

  OFDMとCOFDMはマルチキャリアであり、8VSBはシングルキャリアです。

 マルチパス妨害は固定受信の場合も発生しますが、移動受信時の影響が大きいので、マルチキャリアでないATSCは移動受信に適していないことは想像できます。

 移動受信に適していないことは理解できますが、「困難」ではなくて「不可能(impossible)」となっているのが気になります。

  "impossible"というのは結構強い表現のように思われます。絶対に見えない?
 静止状態では当然視聴可能の筈ですが、どの程度の移動速度で受信不可になるのか判りません。
 歩行速度(4km/h)程度? 通常の車両の走行速度(50-100km/h)程度? あるいは、旅客機の巡航速度(600-1000m/h)程度?

 ATSCの移動受信の情報を探してみると、改良版のATSC 3.0の情報は結構見かけるのですが、現行のATSC 1.0の移動受信の情報はとんど見当たりません。
 たまに見かけても、ATSC 3.0の記事の中で「ATSC 1.0より改善されていた」的な情報しかありませんでした。(見落としただけかもしれませんが・・・)
 
 ATSC 1.0における移動受信の実際はどうなのか興味があります。

 ということで、素人無銭家の好奇心で実際に試してみることにしました。
 日本のISDBT(ワンセグ)の場合には、パソコンやスマホのUSB端子に挿して使うことができるチューナドングルが売られているので、このタイプのもので試してみることにしました。

  日本のアマゾンにはこんなチューナは売っていないだろうと思いましたが、念のために調べてみたらありました。

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ミニ USB ATSC テレビ チューナー デジタル受信機棒の Android 携帯電話パッド タブレット PC

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC-%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E5%8F%97%E4%BF%A1%E6%A9%9F%E6%A3%92%E3%81%AE-Android-%E6%90%BA%E5%B8%AF%E9%9B%BB%E8%A9%B1%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%89-%E3%82%BF%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88/dp/B01GNO6GCW

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(現在は取り扱っていないようです)

 アマゾンの説明を見る限りでは、SH-01Fに接続して使えそうな感じですが、レビュー情報はないし、この種の製品は当たり外れが多いので一寸心配です。

 今まで、ホノルルのアナログTV放送(NTSC)や、シンガポールのアナログTV放送(PAL)の同期信号をICOMのIC-R3で無理やり受信したことがあるので、酔狂のついでにこのATSCチューナを買ってみることにしました。

 注文してから10日程で商品が着きました。 
 中国の北京から発送されたようです。
 中国からの商品の発送は問題が発生することがあるようですが、商品は無事に到着したので、中身は別として、最初のステップはクリアです。

1_china_post_1

2_pad_tvatsc_receiver_for_phonepad_

3_pad_tvatsc_receiver_for_phonepad_

4_pad_tvatsc_receiver_for_phonepad_

5_pad_tvatsc_receiver_for_phonepa_2

5_pad_tvatsc_receiver_for_phonepad_

6_pad_tvatsc_receiver_for_phonepad_


 このチューナを使用するためには、以下のアプリをスマホにインストールする必要があるようです。

  ATSC Player - Google Play の Android アプリ
  https://play.google.com/store/apps/details?id=com.cidana.atsc.lmeplayer&hl=ja

"**This App must run with specific device**"というのが一寸気になりますが、「このアプリはお使いの一部の端末に対応しています。」となっています。

7_atsc_player


 手持ちの対応端末を確認してみると、SH-01Fにはチェックマークがついているので、このアプリに対応しているようです。
 星一つのレビューがダントツに多いのが気になりますが・・・

 アプリを起動してみると、国の選択やチャンネル設定の画面になりますが、日本ではこれ以上の作業はできません。

 以下は、ホノルルのホテルでの受信実験の様子です。

  場所:エンバシー・スイーツ・バイ・ヒルトン・ワイキキ・ビーチ・ウォーク 11F東側(ダイヤモンドヘッド側)ラナイ
  スマホ:SH-01F
  アプリ:ATSC Player
  チューナドングル:ATSC用USBチューナ(Pad TV ATSC Receiver For Phone/Pad:モデル名不明)
  アンテナ:付属の同軸ケーブル付ロッドアンテナ

8_atsc_receiver_1

9_atsc_receiver_2

 以下、手抜きで写真のみ。

Atsc_appli_1_2

Atsc_appli_2


Atsc_appli_3


Atsc_appli_4


Atsc_appli_5


Atsc_appli_6


Atsc_appli_7


Atsc_appli_8


Atsc_appli_9


Atsc_appli_10


Atsc_appli_11

 結果: 20局プリセットでき、EPGも表示できましたが、画像の表示はできませんんでした。
 
 原因としては、電界強度の不足、ハードの問題、アプリの問題等が考えられます。
 星一つのレビューが多いというのは、このような状況を意味している?
 しかし、星五つのレビューも結構あるので、箸にも棒にもかからないという訳ではないようです。

 20局プリセットできたということは、チューナの高周波部分は正常に動作していると考えられます。
 また、EPGが表示されているということはPSIP(Program and System Information Protocol)のデータが正常にデコードされているということなので、映像関係の問題でしょうか?

 
 この種のチューナの情報はないかと思って探していたら、外観が似ているチューナに関してレビューがありました。

   D204 Mini ATSC Pad TV Tuner TV Receiver for Android Phone Pad with Micro USB OTG
http://www.banggood.com/D204-Mini-ATSC-Pad-TV-Tuner-TV-Receiver-for-Android-Phone-Pad-with-Micro-USB-OTG-p-1053603.html

 "Signal strength is 100% but quality is 0. So there is not TV channel to be seen. "と書いてあります。
 当方のチューナも同じ表示がでました。
 信号強度が100%で品質が0%の場合の対処法は???
 絵が出なかったのに星3つなのは外観が綺麗だったから?

  Android Digital ATSC TV Tuner Receiver For Tablet Smart Phone
  https://www.amazon.com/Android-Digital-Tuner-Receiver-Tablet/dp/B01BJ32FI6

  "Works well and picks up over 30 TV stations and has good picture quality if I use a larger antenna. Can't get anything with the supplied antenna."書いてあります。
  付属のアンテナでは見えないけれども、大きなアンテナであれば見えるようです。

 この種の製品は外観は同一(or類似)でも中身が違うということが珍しくないので、参考になるかどうかわかりませんが、もう少し勉強してみます。

 結局、準備段階の画出しができなかったので、移動受信のテストまで進みませんでした。

 次にATSC圏に行く機会があったら、ホテルのアンテナ端子に直結して試してみたいと思います。

 今回は4000円程度の安いチューナだったのですが、もう少し高いチューナだったら映ったかも。。。

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