映画「ドリーム(Hidden Figures)」を見てきました
宇宙絡みの映画には一寸興味があるし、評判も良いようなので、映画「ドリーム(Hidden Figures)」を見てきました。
内容を超要約すると、明示的な差別(Jim Crow law等)や暗黙の了解的な差別(ガラスの天井等)に直面しながら、聡明な頭脳と懸命な努力で状況を改善し、米国の宇宙開発に大きく貢献したアフリカ系アメリカ人の3人の女性の話です。
なお、原題の"Hidden Figures"には二つの意味があるようです。
Hidden Figures - iHeartRadio
Richard Crouse
Saturday, December 24th 2016 - 12:20 am
http://www.iheartradio.ca/newstalk-1010/features/movie-reviews-by-richard-crouse/hidden-figures-1.2291551
(以下上記URLから抜粋引用)
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The title “Hidden Figures” has a double meaning, On one hand it refers to the mathematical calculations that went in to making John Glenn the first American man into space in 1962. On the other hand it describes Katherine G. Johnson, Dorothy Vaughan, and Mary Jackson, three African-American NASA mathematicians who did many of those calculations.
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映画の最後の方で"Figures"(数値)が大きな意味を持ちますが、これも関係してるのかもしれません。
Hidden Figures (2017)
Questioning the Story:
http://www.historyvshollywood.com/reelfaces/hidden-figures/
"Did John Glenn really ask that Katherine double-check the electronic computer's calculations for his first Earth orbit?"
映画の内容自体については、他の人が沢山書かれているので、別の観点でいくつか・・・
最初に予定されていた邦題「私たちのアポロ計画」が問題になったようですが、漢字圏の国でも色々工夫しているようです。
【Hidden Figures】
【ドリーム】
【NASA無名英雌】(NASA無名のヒロイン)
【關鍵少數】(主要な少数派)
(英語字幕表示可能)
次に、素人無線家の観点でいくつか・・・
[Sputnik-1]
スプートニク・ショック(1957年)が話の始まりになっていますが、そのときは未だ子供だったので、スプートニク自体がどのようなものであるかはよく知りませんでした。
無線に興味を持つようになってからは、いくつか人工衛星の信号を受信していますが、スプートニク1の信号がどのようなものであったのかを調べてみました。
JAXA - 宇宙情報センター
スプートニク1号
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/sputnik_1.html
Sputnik-1
http://mentallandscape.com/S_Sputnik1.htm
(上記URLから抜粋引用)
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"The radios transmitted a signal that alternated between 20.005 MHz and 40.002 MHz, spending 0.3 seconds at each frequency. Konstantin Gringauz had done research on radio propagation and the ionosphere, and he proposed the two-frequency scheme. "
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Soviet Telemetry Systems
http://mentallandscape.com/V_Telemetry.htm
(上記URLから抜粋引用)
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"The famous beeping of Sputnik-1 was a PDM signal, encoding internal pressure as pulse length and temperature as length between pulses.
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二つの周波数を交互に切り替えて送信したのは、電波伝播や電離層の影響を調査するためだったようです。
また、信号は単なるビーコンかと思っていたら、内部気圧と温度の情報をPDM(Pulse Duration Modulation)で送信するテレメトリ信号だったようです。
[IBM 7090]
映画の中で人間コンピュータから電子コンピュータ(IBM 7090)への移行の話が出てきます。
Hidden Figures and the IBM 7090 computer
http://www.zdnet.com/article/hidden-figures-and-the-ibm-7090-computer/
IBM 360は大学の実習で少し使ったことがありますが、FORTRANのFORMAT文で苦労したという記憶があります。
映画と同じような大きな部屋に鎮座しており、エアコンのダクトに貼り付けられた送風確認用の穿孔テープがひらひらはためいていました。
使ったといっても、直接触る訳ではなくて、プログラムを書いたシートを担当者に渡すと、後で計算結果のプリントアウトが戻ってくるというシステムでした。
調べてみると、IBM 7090は第2世代で、IBM 360は第3世代のメインフレームだったようです。
IBM Mainframes
45+ Years of Evolution
http://www.vm.ibm.com/devpages/jelliott/pdfs/zhistory.pdf
IBM Systems Japan blog
ドロシー・ヴォーンとIBM メインフレーム
https://www.ibm.com/blogs/systems/jp-ja/dorothy_ibm7090/
映画の中でIBM 7090の動作確認用(?)のオシロスコープが出てくるのですが、どこの信号を見るのでしょうか?
画面を見ると、振幅が中央付近で最低になり、位相が順次変化する幅狭の繰り返しパルスのように見えますが、これは何でしょうか? クロックパルスにしては幅が狭い?
水平輝線の中央部分が光ってないのは、なぜ? ピークが画面外に飛び出した固定位相の大振幅インパルスが中央にある?
水平輝線が大きく右にずれていますが、較正(校正)はしてない?(「定期的に較正してない測定器は測定器ではない」とどこかで聞いたような気が・・・)
後継のIBM 7090は歌を歌ったそうなので、I/O部分から信号を取り出すことが出来たのかもしれません。
映画の本題から外れた枝葉の話を書きましたが、見て損はない映画だと思います。
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