DDS付きUSBオシロ(ISDS205B)で並列共振回路を測定
DDS(Direct Digital Synthesizer)機能付きであれば、同調型ループアンテナの共振周波数が簡単に測定できるはずだと希望的観測をしてInstruStar ISDS205Bを買ったのですが、そう簡単ではありませんでした。
ISDS205Bに付属していた"Sweeper"というソフトウエアは、指定された範囲で自動的に周波数掃引を行って、利得と位相をグラフ化してくれるようです。
同調型ループアンテナをLC並列共振回路であると考えれば、共振点でインピーダンスが最大になるので、共振回路に流れる電流を観測すれば、共振周波数が判る筈です。
取説に以下の配線図があったので、これを参考にしてテストしてみましたが、予想していて特性とは大きく異なっており、共振周波数の確認ができませんでした。
【ISDS205B Sweep wiring diagram】
("Sweeper"の取説から抜粋引用)
共振回路の場合は、電源イン―ピダンスや電流/電圧変換用の抵抗の値の影響があると思われますが、この辺の設定を適当に(いい加減に)やったためかもしれません。
何かを測定する場合には、基準になるものがないと、何を測定しているのか判らなくなってしまいます。
以前、JJY用の共振型バーアンテナを購入したことがあるのですが、これであればある程度共振周波数が信頼できそうです。(下記参照)
2018年8月19日 (日)
JJY(60kHz)用バーアンテナを両周波数用/屋外用に改造
http://kenshi.air-nifty.com/ks_memorandom/2018/08/jjy60khz-f6a7.html
ISDS205Bに付属していたソフト"Sweeper"の使い方はまだよく理解していないので、今回は単純にDDSの周波数掃引機能とオシロの表示機能のみを利用しました。
仕掛けは以下の通りです。
ISDS205B
┏━━━━━━━ DDS出力端子(Zout=200Ω)
┃
LC並列共振回路(2端子)
┃
┣━━━━━━━ CH1入力端子(Zin=1MΩ)
┃
電流/電圧変換用抵抗(400Ω)
┃
┗━━━━━━━ 接地(GND)
なお、電流/電圧変換用抵抗は、DDSの出力インピーダンス(Zout=200Ω)に近そうなものをジャンク箱から拾ってきたので、この値で問題がないかどうかは判りません。
とりあえず、上記の40/60kHz切り替え式のJJY用バーアンテナを測定してみました。
周波数掃引範囲は、20kHz~80kHzです。
1回目の掃引は40kHz同調、2回目の掃引は60kHz同調です。
【DDS sweepパラメータ】
(画像の左クリックで拡大表示)
【JJY用(40/60kHz)バーアンテナの共振特性】
’画像の左クリックでGIFアニメーション開始)
1回目の掃引では40kHz付近で出力が低下し、2回目の掃引は60kHz付近で出力が低下しているので、大体予想したような特性になっています。
次に、300φ88ターン(5.46mH)に1270pFのコンデンサを並列接続したWWVB用(?)ループアンテナを測定してみました。
外付けコンデンサについては、以下の記事を参照願います。
2019年5月 1日 (水)
ループアンテナを60kHz同調型に改造しようとしましたが・・・
http://kenshi.air-nifty.com/ks_memorandom/2019/05/post-c479ce.html
【DDS sweep/oscilloパラメータ】
(画像の左クリックで拡大表示)
【60kH用ループアンテナの共振特性】
(画像の左クリックでGIFアニメーション開始)
CH1のみだと信号レベルが低下したときに、周波数が測定できなかったり、同期が外れたりするので、CH2をトリガチャンネルにして固定レベルの信号を供給しました。
57kHz付近で出力が低くなっているので、共振はしているようです。
しかしながら、ディップというよりも緩やかな窪みといった感じで、Qが非常に低いように思われます。
60kHzのJJYを受信してみると、コンデンサを接続しても聴感的には差が感じられません。
購入したバーアンテナの場合は共振特性が明確に表れますが、自作のループアンテナの場合はあまり効果はないようです。
自作のループアンテナは比較的小さな枠に沢山のコイルを重ねて巻いたのでこれが関係しているのかもしれません。
調べてみると、ワイヤを重ねて巻くとQが下がるようです。
残念ながら、予定しているWWVB受信テストには役に立ちそうにないです。
| 固定リンク
「測定器」カテゴリの記事
- RFワールドNo.52(NanoVNA特集)をリモートで一寸立ち読み(2020.11.11)
- nanoVNA-H4でADS-B(1090MHz)用GPアンテナを測定(2020.07.07)
- 下限が10kHzのアンテナアナライザ(nanoVNA-H4)を買いました(2020.07.04)
- ISDS205BのDDSで40kHzと60kHzの信号を交互に発生(2020.05.04)
- DDS付きUSBオシロ(ISDS205B)で並列共振回路を測定(2019.05.07)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント