先日、AUの端末をガラケーCA007からスマホBASIO3(KYV43)に機種変更しましたが、まだ慣れません。
通話やメールする際に手間が増えたような気がします。(単に慣れてないので、もたついているだけかもしれませんが・・・)
今まで通話/メール用のCA007とインターネット用のSH-01Fの2台持ちだったのが1台になったので、荷物が減った点では都合が良いです。
もともと、携帯の通話やメールはあまりしないので、殆どがデータ通信になりますが、老人向け(?)の必要以上に大きいと思われるアイコンやラジオボタンが沢山あって操作性があまり良くないような気がします。
起動画面の編集はできるようですが、今のところ希望のレイアウトにはできていません。
希望としてはキャリア(AU)特有の操作画面と、後からインストールした一般的なアプリの操作画面とを別画面にしたいのですが、編集が難しいです。
話は変わってGNSS関連です。
当方はQZSSに一寸興味があるので、このBASIO3が対応しているかどうか確認してみました。
公式のみちびき対応製品リストには、BASIO3は含まれていないようです。
みちびき対応製品リスト
2019年05月23日
スマホ・タブレットPC
http://qzss.go.jp/usage/products/list.html#smartphone-tabletpc
BASIO3ですが、GNSS関係の仕様を調べてみると以下のような資料がありました。
Kyocera Basio 3 - Specifications
https://www.devicespecifications.com/en/model/92044802
SoC: Qualcomm Snapdragon 430 MSM8937
Tracking/Positioning
The tracking/positioning service is provided by various satellite navigation systems, which track the autonomous geo-spatial positioning of the device that supports them. The most common satellite navigation systems are the GPS and the GLONASS. There are also non-satellite technologies for locating mobile devices such as the Enhanced Observed Time Difference, Enhanced 911, GSM Cell ID.
この資料を見ると、GPSとGLONASSしか対応していないような感じです。
実際に確認してみました。
表示アプリは、AndroiTSを使いました。
受信結果は以下の通りです。
【BASIO3/AndroiTS/sky】

【BASIO3/AndroiTS/level】

スカイプロットの画面をざっと見ると米9,露8,日1となっているので、GPS, GLONASS, QZSSが受信できているように見えます。
また、レベルプロットの画面では、QZSSとしてPRN 193, 194, 195が表示されています。
しかしながら、方位データ(Azimuth, Elevation)の値がゼロになっています。
また、スカイプロットの画面を見ると、衛星の位置が北の水平線に貼りついています。
この状態では、QZSSは測位に寄与していないと思われます。
方位データがゼロとなっている理由としては、送信側と受信側の両方が考えられます。
GPSの衛星であるNAVSTARでも、特定の衛星の方位データがゼロになっていることがあります。
QZSSの送信側の状態をNAQU情報(http://sys.qzss.go.jp/dod/naqu.html)で調べてみましたが、受信時点におけるPRN 193, 104, 195に関する情報はないようです。
試験運用期間中は、QZSS対応の FLEAZ Que で受信しても、ときどき方位データがゼロになっていましたが、最近はあまり見かけないような気がします。
正確なところはよく判りませんが、今回のBASIO3での現象は、送信側が原因では無いような感じがします。
ということは、受信側に原因がある可能性が高いですが、中途半端に受信できているというのが一寸気持ちが悪いです。
ネットで関連しそうな情報を探していたら、同じ症状を呈するスマホに関する以下の書き込み(2017)がありました。
『QZSS(みちびき)に対応してますか?』のクチコミ掲示板
ZenFone 3 SIMフリー
https://bbs.kakaku.com/bbs/J0000021762/SortID=20853868/
書き込みの内容を見ると、BASIO3はZenFone 3と同じ症状のように思われます。
あらためてみちびき対応製品リストを見てみると、ZenFone 2はリストに含まれていますが、ZenFone 3は含まれていません。
ZenFone 3はSnapdragon 625を使用し、BASIO3(KYV43)はSnapdragon 430を使用しているようです。
どのチップがQZSSに対応しているのかを調べてみると、以下のような資料がありました。
みちびき対応スマートフォンは少ない。対応するSnapdragonはどれか?
<< 作成日時 : 2017/06/05 08:32 >>
https://powerpro.at.webry.info/201706/article_3.html
これによれば、「みちびき非対応の型番については、Snapdragon200シリーズ、400シリーズ、 610~626までの型番、650は非対応である。」とのことなので、話は合っています。
色々調べてみましたが、残念ながらBASIO3はみちびき非対応のようです。
以上、色々と書いてきましたが、ここまでの話は仕様がそうなっているということなので、別に不思議な話ではありません。
ここからが本題です。
QZSSの信号をQZSS対応のFLEAZ Queに入れたGNSS表示アプリで表示した場合には、QZSのPRNとして193, 194, 195が表示されます。
先日、ハワイに遊びに行ったときに、同行者が88TEESで買い物をしているときに暇つぶしでBASIO3に入れたGPS TESTを見ていました。
画面を見ると、レベルバーの下に、193, 194, 195, 196と表示されています。
スカイプロットには、北の水平線に196だけが表示されています。
【QZSS PRN 193, 194, 195, 196】@HNL, 88TEES 2F
地図が小さくて見にくいですが、現在地はハワイです。

四つともPRNの数字の背景が黒なので、測位には使用されていません。
PRN196という表示は初めて見ました。これは何でしょうか?
下記資料によれば、196はみちびき2号機(QZS-2)のL5Sに割り当てられたPRNのようです。
みちびき
http://qzss.go.jp/technical/satellites/index.html#QZSS
L5Sはあまり聞いたことがないので調べてみました。
下記の資料によれば、L5Sは1176.45MHzで送信される測位技術実証サービス用の測位信号のようです。
送信信号一覧
http://qzss.go.jp/overview/services/sv03_signals.html
測位技術実証サービス
http://qzss.go.jp/overview/services/sv07_tv.html
「衛星からのデータは、L5信号と同じ形式であるL5S信号の受信機で利用することができます。」
整理すると以下のようになります。
193 1号機 L1C/A, L1C, L2C, L5 1575.42MHz
194 2号機 L1C/A, L1C, L2C, L5 1575.42MHz
195 4号機 L1C/A, L1C, L2C, L5 1575.42MHz
196 2号機 L5S 1176.45MHz
L5Sの周波数(1176.45MHz)はL1C/Aの周波数(1575.42MHz)とは約400MHzも違っているので、入口のL1C/A用のアンテナで減衰して信号自体が受信できないような気がします。
GNSS受信端末におけるエラーとしては、マルチパスや信号劣化の影響で、現在位置がとんでもない場所になることがありますが、今回のようなエラー(?)は見たことがありません。
でたらめな数字が表示されるのであれば、なんとなく納得できますが、それらしい数字が表示されるのが不思議です。
PRN196に関する情報はあまりないのですが、以下の資料に関係ありそうな情報が書いてありました。
u-blox 8 / u-blox M8
Receiver Description Including Protocol Specification
Revision and date R17 (5321fe3) 17 May 2019
https://www.u-blox.com/sites/default/files/products/documents/u-blox8-M8_ReceiverDescrProtSpec_%28UBX-13003221%29_Public.pdf
A Satellite Numbering(Page 394 of 407)
GNSS Type SV range UBX gnssId:svId UBX svId
QZSS Q1-Q5 5:1-5 193-197
SV rangeがQ1-Q5で、UBX svIdが193-197であるということは、単純に考えると以下のようになります。
Q1 193 1号機 L1C/A, L1C, L2C, L5 1575.42MHz
Q2 194 2号機 L1C/A, L1C, L2C, L5 1575.42MHz
Q3 195 4号機 L1C/A, L1C, L2C, L5 1575.42MHz
Q4 196 2号機 L5S 1176.45MHz
Q5 197 3号機 L5S 1176.45MHz
Q5という文字を見て思い出したのですが、以前U-bloxの表示ソフトu-centerで「QZSS Q4」、「QZSS Q5」という表示(方位データなし)を見たことがあります。
なお、使用した GNSSレシーバはu-blox7/G7020でした。
【QZSS Q4, QZSS Q5】


普通のGNSSレシーバで受信できるL1C/Aの信号は、QZSSでは3波しか無い筈なのに、5波も表示されているのが不思議でした。
みちびき 準天頂衛星システム 3号機(199)受信不可について
https://support.garmin.com/ja-JP/?faq=Gz0iRDAbibAKYZV9teLnq9
GPS受信モジュール(1PPS出力付き) 「みちびき」3機受信対応の質問と回答
http://akizukidenshi.com/catalog/faq/goodsfaq.aspx?goods=M-09990
KiwiSDRならL1C/A等が変則仕様(?)の3号機(PRN199)にも対応しているようですが・・・
KiwiSDR
http://kiwisdr.com/
『ど』 の ぺえじ
みちびき 久しぶりの4機同時受信 [GNSS]
https://radio-dxing.blog.so-net.ne.jp/2018-09-10
u-centerでQ4, Q5が表示される理由は今もよく判りません。
u-centerで表示された「QZSS Q4」がBASIO3で表示された「196」と何か関係があるのでしょうか? 素人には想像もつきません。
PRN情報がどのようにして伝送されているのかよく判りませんが、他の信号に共通データ(アルマナック?)として含まれていたり、ネットワーク経由で伝送されているのであれば、どこかの経路を通って「196」という数字が漏れ出てくることはあるのでしょうか?
受信していた場所は、2階の室内で雑音となりそうなものが沢山あったので、ノイズが飛び込んで誤動作したとか?
あるいは近くで誰かがGNSSシミュレータで遊んでいたとか?
QZSSを目的としてBASIO3を購入した訳ではないので、もし受信できたらラッキーという程度だったですが、QZSSのPRNが表示されたので、一寸期待してしまいました。
残念ながら、BASIO3はQSZSに対応していませんが、C/Nは表示されているので、QZSS信号チェッカとしては利用できるかもしれません。
【蛇足】
ホノルルから見たQZSSのスカイプロット
GNSS View
http://app.qzss.go.jp/GNSSView/gnssview.html?t=1559693991764
低い仰角で移動しているので、受信環境としてはあまりよくないかもしれません。
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