WWVB受信失敗/JJY受信成功@ハワイ
短波のWWVやWWVHは、日本でも比較的簡単に受信することができますが、長波のWWVB(60kHz)は受信したことがありません。
日本より送信元の米国に近いハワイであれば、少しは受信条件が有利ではないかと思って、ハワイに遊びに来るたびにWWVBの受信を目論んでいます。
しかしながら、今まで受信できたことがありません。
ニュースによれば、予算削減で米国の標準電波が停波するかもしれないということですが、下記の資料よれば、とりあえずFY2019はセーフのようです。
Ohio Section Journal - The Technical Coordinator - February 2019 edition
February 17, 2019
https://www.jeffreykopcak.com/2019/02/17/ohio-section-journal-the-technical-coordinator-february-2019-edition/
(以下、上記URLから抜粋引用)
------------------------------------
WWV update
There was a lot of FUD (that’s fear, uncertainty, and doubt) around the future of WWV back in September of last year. You can check my article in the September edition of the OSJ or on my website. While not yet signed, the fiscal year budget for 2019 does include funding all WWV stations. As it turns out, this year is the 100th year of operation. A member of the Northern Colorado Amateur Radio Club has met with NIST management and is planning a special event station between September 28 - October 2. I’ll be anticipating that event and hope to work WWV.
------------------------------------
資料(ARRL下部組織の資料?)の性格から考えて他の人にチェックされているだろうし、NISTと直接コンタクトをとっているようなので、信頼度は高いように思われます。
WWVBが停波していないとしても、次の問題は、ハワイで実際に受信できるかどうかです。
不安要素がいくつかあります。
(1)メンテナンスなどで一時的に停波していることはないのか?
(2)ハワイで電波時計やアマチュアレベルの受信機で受信できる電界強度はあるのか?
(3)同一周蓮数のJJY(福岡/佐賀局)の影響はないのか?
(1)に関しては、NISTのサイトで公式情報が確認できるようです。
The Current Readability of the WWVB Time Code
https://tf.nist.gov/tf-cgi/wwvbmonitor_e.cgi
また、下記のコロラド州フォートコリンズのリモート受信局で60kHzを受信すれば、リアルタイムで送信状態を確認することができます。
KiwiSDR: Software-defined receiver at W3LLA Ft. Collins, CO, USA | Grid: DN70LN, ASL: 1510m, Antenna: Active Loop Antenna
http://73.78.212.116:8073/
(2)に関しては、一寸古いですが、2005年の以下の資料を見ると、かなり悲観的な感じがします。
‘Atomic’ clocks are not as effective in Hawaii
Sunday, August 21, 2005
http://archives.starbulletin.com/2005/08/21/news/kokualine.html
しかしながら、下記の2012年の資料の"Figure 1. WWVB coverage at a 100μV/m level."のカバレージの図を見ると、夜間であれば ハワイで受信できても良いような気がします。
Computer Science
Published 2012
NEW IMPROVED SYSTEM FOR WWVB BROADCAST
https://pdfs.semanticscholar.org/210d/fc942b3912f1914fc3caf5ec425c375ab771.pdf?_ga=2.258676559.433160335.1576454006-205839317.1539733085
上記の資料を見ると、BPSKが導入されてEMI耐性が改善されたようなので、昔よりは条件が良くなっているかもしれません。
しかし、ノイズの方も増えていると思われるので、実際のところはよく判りません。
ハワイでWWVBが受信できたという信頼できる具体的なレポートが無いかと思って探してみたら、以下の資料がありました。
Journal List.>J Res Natl Inst Stand Technol>v.119; 2014>PMC4487279
WWVB: A Half Century of Delivering Accurate Frequency and Time by Radio
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4487279/
(以下、上記URLから抜粋引用)
------------------------------------
It is interesting to note that during this era the LF and VLF signals from Fort Collins, phased locked to Boulder, were received in Hawaii and Maryland (then the home of WWV) and used to control the frequency of the shortwave stations WWVH and WWV [27].
------------------------------------
LFは30-300kHzなので、WWVB(60kHz)がハワイで受信できていたことになります。
ただし、"It is interesting to note"ということは、当たり前の現象ではなかったのかもしれません。
上記資料で引用されている元の資料 [27]を見てみました。
Control of WWV and WWVH standard frequency broadcasts by VLF and LF signals
BE Blair, AH Morgan - Radio Sci. J. Res NBS D, 1965 - nvlpubs.nist.gov
http://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwjW9siF-L3mAhXVa94KHWiOBikQFjAAegQIARAC&url=http%3A%2F%2Fnvlpubs.nist.gov%2Fnistpubs%2Fjres%2F69D%2Fjresv69Dn7p915_A1b.pdf&usg=AOvVaw2bkRCbZh6nk6Frg-8qiOIe
詳細は読んでいませんが、ざっと見た感じでは、その当時は、米国のWWVL局(20kHz)とWWVB局(60kHz)の信号を、ハワイのWWVH局で受信し、その位相情報をWWV局にフィードバックして位相制御を行っていたようです。
ハワイでWWVBを受信することが前提となっているシステムなので、それなりの設備投資をすれば、受信できるのかもしれませんが、プロ(研究所?)レベルの受信機には手がでません。
米国国内であれば自作のアンテナと受信機で受信できるようですが・・・
A Frequency Standard for Today's WWVB - ARRL
http://www.arrl.org/files/file/QEX_Next_Issue/2015/Nov-Dec_2015/Magliacane.pdf
なお、日本で売られている電波腕時計の取説を見ると、条件が良ければ、ハワイでWWVBの受信できるような感じで書いてあります。
(3)に関しては、電波伝播は気まぐれなので、実際に受信してみるしかありません、
色々悩んでいても仕方がないので、ハワイに受信セットを持って行きました。
仕掛けは、前回JJY(40kHz)の受信に成功したものと殆ど同じですが、周波数を60kHzに設定しました。
ホノルル滞在中に、22:00~02:00(現地時間)頃に受信してみましたが、WWVBもJJY(福岡/佐賀局)も全く聞こえませんでした。
丁度60kHzのところに正体不明の連続信号が出ており、CWモードで受信するとピーという連続音が聞こえます。
信号レベルは緩やかな周期で僅かに変化しますが、フェーディングという感じではありません。
ホテルのラナイでの受信なので、怪しいのはエアコンのインバータや電気機器を制御するプロセッサのクロックやデーダストリームですが、アンテナの場所や角度を動かした程度では変化はありませんでした。
念のために、先に述べたフォートコリンズのリモート受信局で確認したところ、パルスの立ち下がりを位相基準としたPWMを使用したWWVB独特の信号が聞こえていました。
さらに念のために下記のハワイのリモート受信局で60kHzを受信してみましたが、やはりWWVBもJJYも聞こえませんでした。なお当然かもしれませんが、HFのWWVHは綺麗に聞こえました。
c bluebison.netKiwiSDR at NH6XO - 220' unterminated N-S Beverage - horizon blocked blocked to all points westKaneohe, Hawaii, USA - Windward Oahu | Grid: BL11, ASL: 55m, Antenna: N-S unterminated Beverage
http://72.235.217.245:8073/
WWVBは受信できませんでしたが、折角なので40kHzを受信してみました。
ノイズはありましたが、かすかに断続するビート音のようなものが聞こえます。
前回の受信では、SDRunoのウォーターフォール画面で、JJY(・- - - ・- - - -・- -)が視認できる程度のレベルがあったのですが、今回は非常に弱かったです。
帯域を150Hzに絞っていたので、入力信号が共鳴したような感じになって、モールス信号の断続が明確ではありません。
また、ワイキキビーチの波の音に負けないように音量を上げていたので、スピーカがビビリ振動を起こしてさらに聞きにくくなっていました。
一寸聞いただけでは良く判りませんが、脳内フィルタをONにして注意深く聞くと、下記の動画の00:05~00:15で"JJY JJY"のモールスが微かに聞こえます。
【JJY受信@HNL】
受信環境
日時:2019.12.05 01:45:40-01:45:50 JST
場所:Moana Surfrider, A Westin Resort & Spa, Waikiki Beach, Tower Wing 12F
アンテナ:自作ループアンテナ (300φ,88ターン)
受信機:SDRPlay RSP2 (Hi-Z input)
タブレットPC:Ployer momo8w (Windows 10 mode)
ソフトウエア:SDRuno
受信周波数:40kHz
WWVBは受信できませんでしたが、JJY(40kHz)が受信できたので良しとしましょう。
数日間のホノルル滞在時にJJY(40kHz)が受信出来たのは2回目なので、想像しているよりもJJYの電波は飛んで来ているのかもしれません。
なお、今までハワイで60kHzのJJYは受信したことがありません。
| 固定リンク
「無線」カテゴリの記事
- MRI検査受診時の熱感の原因は?(2021.11.15)
- レーダー用マイクロ波で溶けたのはチョコバーではなくpeanut butter candy barだった?(2021.08.26)
- Intel Drone Light Show Premiumの費用と仕様(2021.07.26)
- 電波法第59条の「傍受」が狭く解釈された判例(2021.07.24)
「海外旅行」カテゴリの記事
- ハワイ旅行時の検査が簡単にできるようになると嬉しいですが・・・(2020.10.16)
- 人影が殆ど見えないワイキキビーチ(WebCam-GIF)(2020.04.08)
- ライブカメラで見るワイキキビーチ(2020.03.21)
- JL723(NRT-KUL/B787)の機内で撮影した写真をLINEで送信(2020.01.14)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント