FRG-965の内蔵電池(CR-1/3N)を交換(電池ホルダ使用)
趣味で時々エアバンドを受信しています。
エアバンドに対応した受信機はいくつか手元にありますが、やはり据え置き型の受信機が操作性、視認性、音質等の点で使いやすいです。
以前、FRG-965(1985年発売?)を使っていたのですが、30年以上経過しているので、あちらこちらにガタが出てきています。
高周波系には顕著な不都合は発生しなかったのですが、電源系に不思議な故障が発生しました。
FRG-965の電源スイッチは音量調整用ボリュームと一体化されており、ボリュームを左に回しきると電源が切れるようになっています。
ところが、かなり前になりますが、ボリュームを左に回しきって、カチッと音がしても、蛍光表示管が点灯したままになるという状態になりました。
電子的な電源スイッチの場合は、電源が切れない要因は色々考えられますが、メカニカルスイッチ(単極単投または単極双投)で電源が切れないというのは、原因が想像できません。
今まで、メカスイッチで電源が切れなくなった経験は1回しかありません。
このときは、電気掃除機の電源を入れたときに、過電流が流れて接点が溶着してしまい、接点がもとに戻らくなっていたためでした。
電源スイッチを分解して、溶着した接点を無理やし引き剥がして応急修理しましたが、いま考えると、大電流が流れる電源スイッチを、接点が変形した状態で使い続けるのは一寸危険だったかもしれません。
電源スイッチ付きのボリュームの場合は、ボリュームを左に回しきって、カチッと音がしているということは、可動接点は正常に移動しているということなので、接点の溶着では無いようです。
ということになると、スイッチの接点はオフなのに、内部回路には電流が流れているということなので、一寸不思議です。
電源スイッチの場合は、ノイズ対策として、以下の資料に書かれているようなCR直列回路から構成されるスパークキラーが接続されていることがあります。
スパークキラーの選定方法
この場合には、何らかの原因でコンデンサが短絡状態になると、漏洩電流が大きくなって、電源スイッチを切っても負荷に電流が流れ続ける可能性があります。
しかしながら、直列抵抗の値は、負荷の回路が動作できるような小さな値であるとは考えにくいです。
同じような症状のFRG-965の情報がないかと思って探してみると、1件だけありました。
故障の原因はよく判りませんが、表示部のケミコン(電解コンデンサ)を全部交換したら正常に動作するようになったようです。
修理の写真があったのですが、かなりの数のケミコンを基板から取り外して交換する必要があるようでした。
(元記事を探したのですが、見つけることができなかったので記憶違いの部分があるかもしれません。
その時点でも十分に老眼になっており、狭い場所での半田付けは困難だったので、修理はあきらめました。
結局、原因はよく判りませんでしたが、症状としては漏電なので、このまま使い続けるのは危険かもしれないということで、お蔵入りになっていました。
最近は、COVID-19の影響で外出することも殆どなくなったので、暇つぶしにFRG-965を引っ張りだしてきました。
久しぶりにACコードを接続してみると、蛍光表示管は点灯しません。
完全に故障してしまったのかと一寸心配になりました。
ボリュームの位置を確認してみるとオフの位置にあります。
ボリュームを右に回して電源スイッチをオンにすると蛍光表示管が点灯します。
アンテナをつないでみると普通に受信できます。
自然治癒した?
ラッキーと思ってしばらく使っていると、電源オフの状態でも蛍光表示管が点灯したままになりました。
元の症状に逆戻りです。
電源オフ時の点灯状態は不安定なので、ケミコンに刺激を与えれば症状が改善するかもしれないと思って、30分程度電源のオンオフを繰り返していたら、電源オフの状態では蛍光表示管が点灯しなくなりました。
不思議な現象ですが、自然治癒したのでしょうか?
故障の原因はよく判りませんが、もしケミコンが原因だとしたら、以下のようなことが考えられます。
ケミコンの代表的な故障は、経年劣化による容量抜けと層間短絡(端子間短絡)であると思われますが、上記症状から想像すると層間短絡の可能性があるように思われます。
素人考えですが、もし層間短絡の原因がマイグレーションであると仮定すると、電源オンオフのラッシュカレントでマイグレーション部分が溶断して容量が回復したのかもしれません。(単なる想像です。)
選局動作を確認してみると、メモリの内容は全部消えています。
メモリに周波数をプリセットすればメモリ選局が可能です。
電源をオフにしても、メモリ選局はできます。
しかしながら、ACコードを抜くとメモリの内容は消えてしまいます。
メモリバックアップ用の内蔵電池が切れているようです。
故障は自然治癒したようなので、FRG-965の内蔵電池を交換することにしました。
前回、電池を交換したのが2014年なので6年経過していることになります。
前回は、CR-1/3NからCR2032に交換したのですが、応急処置ということで、手抜きで、禁止されている危険な配線を行ったのですが、安全上の問題がありますので、今回は電池ホルダを使用しました。
以下、今回の作業手順(のようなもの)です。
電池は前回の修理の後に秋葉原ラジオデパート3Fの電池専門店(?)で購入してジャンク箱に放り込んでいたCR-1/3N(タブなし)を使いました。
購入時期はよく覚えていませんが、値札の消費税率が8%となっているので、2014~2019に購入したもののようです。
最も古いタイミングで考えても約6年前なので、多分問題ないでしょう。
FDK
コイン形二酸化マンガンリチウム一次電池
「自己放電率 : 室温約1%/年」
CR-1/3N
リチウム電池の安全な使用に関する注意事項
円筒形一次電池
「電池に直接半田付けをしないでください。
熱により絶縁物などが損傷して、電池を漏液、発熱、破裂、発火させるおそれがあります。」
CR-1/3N用の電池ケースを探したのですが、入手が難しそうなので、単5電池ホルダを加工しました。
サイズが合わないので、何らかの加工が必要です。
隙間に導電体を詰め込むか、電池ホルダの中間部をカットするかということになりますが、なるべく占有容積を少なくしたかったので、中間カットにしました。
なお、電池ホルダの電極寄りの側面が電池と干渉するので、ホルダの側面を一部削りました。
電池ホルダの中間部分を金鋸で切り取って、残った部分を瞬間接着剤で接着するだけなので簡単です。
電池ホルダの接点構造の関係で、赤のリード線がマイナス 、黒のリード線がプラス となっているので、基板の端子に半田付けするときに注意が必要です。
未使用にしては一寸低めのような気もしますが、製造から6年以上経過している可能性もあるので、こんなところかもしれません。
CR-1/3Nを電池ホルダに入れた状態では、オリジナルの電池取り付けスペース内には収まらないので、少し離れた基板の空いた部分に両面テープで取り付けました。
なお、基板の「+」マーク側に黒のリード線を半田付けします。
間違いを誘起するやり方ですが、電池ホルダの赤黒リード線を交換するの面倒だったので・・・
HND ATISがどうにか聞こえています。
ACコードを抜いてもメモリの内容は消えていませんでした。
正常にバックアップ動作が行われているようです。
車載用としてもしばらく使っていましたが、表示関係の不都合は発生していないようです。
FRG-965の中身には今まで全く手を付けていないので、低感度、スケルチ不調等の問題はオリジナルのままですが、強い信号を受信する分にはあまり問題がないので、この状態でしばらく使ってみるつもりです。
【参考外部リンク】
FRG-965 - Yaesu.com
Do you remember the Yaesu FRG-9600?
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