nanoVNA-H4でADS-B(1090MHz)用GPアンテナを測定
最近買ったnanoVNA-H4で、色々なアンテナを測定して遊んでいます。
今までは、共振周波数やSWRを測定するツールとして以下のようなものを使っていました。
・グリッドディップメータ:トリオDM-6 (1.7-180MHz)
・SWRメータ:DIAMOND SX-400 (140-525MHz)
・アンテナアナライザ:AW07A (1.5-71MHz, 85-185MHz, 300-490MHz)
・DDS付きUSBオシロ:INSTRUSTAR ISDS205B (1Hz-20MHz)
430MHzまでのアマチュア無線バンドであれば、これでどうにか対応できます。
しかしながら、ADS-B(1090MHz)のアンテナになると、対応可能な測定器が非常に高価なので手が出ません。
単純なダイポールアンテナであれば、原理的には、波長と波長短縮率で一義的に決まるエレメント長でアンテナを作れば良いわけですが、実際には外的環境で共振周波数が大幅に変化することがあります。
また、多段のアンテナの場合、資料には色々な寸法の数値が書いてあるので、適当と思われる資料の数値を信じてアンテナを作るしかありません。
アンテナの性能を判断するためには、実際に受信してみるしかありませんが、ADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)は"Broadcast"とは言っても、普通の放送局のように連続送信している訳ではないので、リアルタイムで調べることは難しいです。
生のADS-B信号を振幅検波して聞くと、ジッ、ジッ、という音がたまに聞こえる程度です。
このため、アンテナの比較は、受信できた機体までの距離データを長時間集積して、受信可能範囲の広さで判断することが多いです。
したがって、リアルタイムで受信状態を確認しながら、エレメントと切り刻んで共振周波数を調整することができません。
アンテナの共振状態等をリアルタイムで確認できれば非常に便利ですが、今まで個人レベルでは非常に困難でした。
今回購入したnanoVNA-H4は、100kHz-1.5GHzに対応しているようなので、自作のADS-B(1090MHz)用のグランドプレーン(GP)アンテナもどきの測定をしてみました。
アンテナの構造は、下記の記事で作ったものと殆ど同じです。
2015年8月17日 (月)
USBドングルチューナ直挿しADSB用グランドプレーンアンテナを作ってみました
http://kenshi.air-nifty.com/ks_memorandom/2015/08/usbadsb-e839.html
1090MHzの波長は275.2mmなので、λ/4は68.8mmとなり、これに裸銅線の波長短縮率0.96(=288/300)を掛けると66.0mmとなります。
効果があるかどうか判りませんが、なるべく地面(ground plane)に近くなるように、今回はラジアルを6方向に出してみました。
【(01)ADS-B(1090MHz)用GPアンテナもどき】
走査範囲は、700-1500MHzです。
作りっぱなしの状態(エレメント長:66mm)の場合は、共振点は996MHz付近でした。
【(03)共振周波数 996MHz】
目的の周波数(1090MHz)よりも100MHz程度低いです。
周波数を上げるためには、エレメントを短くする必要があるわけですが、周波数の変化が大きいので1mm単位で切り刻みます。
ニッパで切断する場合には、切り口が変形するので、寸法精度はよくありません。
一寸切りすぎたと思った場合は、目的周波数を通り越していることが多いので、作り直しです。エレメントの先端に半田を盛るという手もありますが・・・
目的周波数が近づいてきたら、表示波形で共振周波数を確認して、ヤスリで削りながら微調整です。
最終的には、目的周波数より少し上の1092MHzまで近づけることができました。
【(05)共振周波数 1092MHz】
SWRは1.09まで下がっているので、手抜きで作った割にはいいところまで行っているような気がします。
問題は、実際の受信特性がどうかということですが、そのうちテストしてみたいと思います。
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