「*」と「#」が無いプッシュホン(600-P)
年末の大掃除という訳ではありませんが、トランクルームを整理していたら昔のプッシュホン(600-P)が出てきました。
電電公社のDIALS(Dendenkosha Immediate Arithmetic and Library System)のサービスが始まったときに、どんなものかと試してみるために、秋葉原のジャンク屋で買ったものです。
DIALS
https://ja.wikipedia.org/wiki/DIALS
電話番号の"0100111"は今でも覚えています。いかにもデジタルという感じがします。
プッシュホンで計算ができるのは面白かったのですが、実用的な面では、普通の家庭では出番がなくて、すぐに使わなくなってしまいました。
久しぶりに手に持ってみるとかなり重たいです。
キーをよく見てみると、キートップの表示が現在のものと一寸異なっています。
現在のプッシュホンでは最下行が「*」「0」「#」となっていますが、手元のものには、「*」と「#」の表示がありません。
「*」の代わりに「赤の中実丸」、「#」の代わりに「緑の小さな中実丸の外側に緑の円」が表示されています。
以下の資料を見ると、プッシュホン(1969)では、「*」「0」「#」の表示になっています。
電話機のあゆみ
https://www.ntt-east.co.jp/databook/pdf/denwakinoayumi_p260_p267.pdf
また、以下の写真を見ると、米国の場合は、1960年代のタッチトーンでは「*」「0」「#」の表示になっています。
1960’s Touch Tone Telephone White Ivory
https://hangarnineteen.com/product/1960s-touch-tone-telephone-white-ivory/
既に米国のタッチトーンのキーの表示が決まっているのに、あえて日本(電電公社)独自の表示を行う必要性はないように思われるので、このプッシュホンの表記は何でしょうか?
「*」「0」「#」が決まる前に一時的に使用された? あるいは、試作品がジャンクで流出した?
機能的には、現在でも完動なので、特に問題はありませんが、一寸不思議な感じです。
昔のプッシュホンは、色によっては結構良い値段がついているようですが、残念ながら手元にあるものはジャンク状態です。
電鈴は一対の金属製のお椀(?)を交互に叩く構造となっており、非常に大きな音がでます。
左右のお椀の共振周波数は和音になっているとのことです。
600-Pでは昔懐かしいカーボンマイクが使用されているので、もう少し遊んでから処分する予定です。
大昔に3A5を使った超再生トランシーバを作ったときには、電話機から回収されたと思われるジャンクのカーボンマイクを使いました。
下記の資料によれば、600形電話のカーボンマイク(T-60)の定格インピーダンスは35Ωであるようなので、定振幅送信機と空中線の間に直列にカーボンマイク接続すれば、高周波を直接変調してAM信号を送信できるかもしれません。(用途は検討中)
電電公社における電話オーディオ技術の研究実用化
https://www.jstage.jst.go.jp/article/essfr/5/2/5_2_114/_pdf
カーボンマイクについて調べていたら、下記の資料に、エジソンの特許[U.S.Patent No.406,567,1889]の話が出てきました。
炭素型送話器(カーボン・マイク口ホン)
http://www.kobayasi-riken.or.jp/news/No32/32_2.htm
好奇心でClaimがどのようになっているのか調べてみました。
特許番号が判っているので、通常はUSPTOのPatent Number Searchで調べることができますが、昔の特許は検索対象外です。
Search for patents
https://www.uspto.gov/patents-application-process/search-patents#heading-1
Searching Full Text Patents (Since 1976)
Patent Number Search
http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/srchnum.htm
1790年以降の米国特許であれば、"View Patent Full-Page Images"で検索できる筈です。
Searching PDF Image Patents (Since 1790)
View Patent Full-Page Images
http://patft.uspto.gov/netahtml/PTO/patimg.htm
エジソンのカーボンマイク特許は、[U.S.Patent No.406,567,1889]ということなので、"00406567"を入力して"View Patent"をクリックすると、目的とする特許明細書が表示されました。
初期状態では図面が表示されていますが、左欄のClaimsをクリックするとクレーム(特許請求の範囲)が表示されます。
Claim 1は、以下のようになっていました。
What I claim is
1. An electrode for telephones composed of a body of granules of carbonized hard coal, substantially as set forth.
発明の対象はマイクではなく電話用電極になっていますが、内容的には確かにカーボンマイクでした。
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コメント
このおもちゃの電話機と*と#の部分が似ています。
投稿: T | 2022年5月23日 (月) 12時39分
「600-Pでは昔懐かしいカーボンマイクが使用されているので、もう少し遊んでから処分する予定です。…」と書かれていますが、もし処分されるようでしたら、そのまま着払いでいいので、お送り頂けないかと思います。
投稿: T | 2022年5月23日 (月) 12時45分
残念ながら発振器の実験をした後に、断捨離(ジャンク整理)で廃棄してしまいました。
投稿: K | 2022年5月24日 (火) 18時06分