高裁判決では外付機器によるテレビの契約免除は無理なようです
ネットニュースで以下の記事を見かけました。
デイリー新潮
NHK受信料は税金と同じ扱い? イラネッチケー控訴審で書かれた理解不能な判決文
国内 社会 2021年3月4日掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/03040600/
記事の中に以下のような記載があります。
「例えNHKが映らなくても、電波を増幅させるブースターを使えばNHKを視聴できるから、契約義務が生じる」
内容がよく理解できないので、関連のニュースを調べてみました。
NHK
東京高裁「NHK受信できなくする機器取り付けても契約義務」
2021年2月24日 18時11分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210224/k10012883761000.html
「NHKの放送を受信できなくする機器を取り付けたとしても、機器を取り外したり機能させなくしたりすることによって、放送が受信できる状態になる場合は、NHKの放送を受信できる設備に当たる」
時事ドットコムニュース
視聴できぬテレビも契約義務 NHKが逆転勝訴―東京高裁
2021年02月24日17時31分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021022400877&g=soc
「NHKを視聴できなくする機器をテレビに取り付けても、元に戻せる場合は契約締結義務を負う」
「ブースターや工具を使えばNHK放送の視聴が可能になる」
正確なことは判決文を見ないと判りませんが、ニュ―スで報道された範囲の情報で判断すると、外部環境とは無関係に、テレビ自体が「協会の放送を受信することのできる受信設備」である場合には、契約締結義務を負うということのようです。
放送法 第六十四条(受信契約及び受信料)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000132
テレビ自体がテレビ本来の機能を有している場合にはアウトということのようですが、以下の場合はどうなるのでしょうか? (今となっては机上の空論ですが・・・)
特定のチャンネルが見えないようにするという要望は今に始まったことではなく、真空管式の白黒テレビのことから存在しています。
当時のテレビのチューナは、各チャンネルごとに用意された複数のセグメント(通常12個)が回転ドラムの周囲に着脱自在に取り付けられているターレット方式のものが多かったです。
昔の真空管式テレビは、真空管の交換が必須なので、内部部品へのアクセスが簡単でした。
電気や無線に興味がある人であれば、チューナから特定チャンネルのセグメントを取り外して作業完了です。取り外したセグメントをハンマーでたたきつぶして、破壊の写真を撮っておけば何かの役に立つかもしれません。
自分は実施したことはありませんが、そのような話をしている人がいました。
この方法であれば、簡単には現状復帰は不可能なので、「協会の放送を受信することのできる受信設備」に該当しなくなるかもしれませんが、家族の誰かが修理に出せは、元通りになってしまいます。
チューナの型式は、メカニカルチューナ(ターレットチューナ、ディテントチューナ)→電圧シンセサイザ→PLLシンセサイザと進化してきたので、現時点ではテレビの内部で特定チャンネルの受信を不可にするのは難しいかもしれません。
スキルがあればファクトリモードでファームウエアの書き換えが可能なのかもしれませんが・・・
通常のPROMだと現状復帰が可能なので、免除は認められない?
なお、上記判決のロジックが「テレビ自体がテレビ本来の機能を有している場合にはアウト」ということであれば、例えば、以下の公開特許(未請求取下)のような本体内で処理しているようなテレビはセーフなのでしょうか?
【蛇足】
以前、下記の記事をネタにしてブログを書いたことがあるのですが、記事の中の「NHKが映らないテレビは特許上、作ることができず」(改訂版では削除)の「特許上、作ることができず」の部分を特定の特許の権利侵害の話だと思い込んで大恥をかいてしまいました。
受信料“拒否”可能に? 「NHKだけ映らないアンテナ」の波紋
公開日:2015/04/08 07:00 更新日:2016/10/17 04:37
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/158752
ご指摘があり、ライセンス拒否の可能性の話だと理解しました。
公序良俗(?)に反するようなテレビには、特許管理会社からライセンスされない可能性があるので、そのようなテレビの製造や販売は難しいかもしれません。
ただし、規格必須特許のライセンスの場合には、FRAND(fair, reasonable and non-discriminatory)条件というのが存在するようなので、拒否されたら裁判という手があるかも?
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