手帳型スマホケースのマグネットが磁気センサに与える影響
2周波GNSS実験用に購入したHuawei Mate 20 Proは、今まで使ってきたスマホに比べて外筐の角が丸まっているので、手から滑りそうな感じがします。
スマホ保護用に手帳型スマホケースを買うことにしたのですが、今まで使ったことがあるものはベルト式だったので、スマホを使用するときにベルトが一寸邪魔になります。
Amazonで調べてみるとベルト無しのタイプもあるようなので、あまり考えずに発注しました。
届いた製品は、見たところ特に問題がないようでしたが、ケースの裏側に埋め込まれたマグネットがかなり強力であるのが一寸気になりました。
試しにニッパを近づけてみると吸着固定されます。
当方は、スマホと磁気カードは分けて携帯するので、磁気データ消失の心配はありませんが、別の観点で強力マグネットが一寸気になります。
スマホによる測位は、一般にGNSSと無線ネットワークからの位置情報に基づいて行われることが一般的ですが、地下室などの電波が受信できない場所では測位できません。
この問題を解決するための手段として、IMU(inertial measurement unit)の利用が検討されているようです。
IMUと地磁気センサーを組み合わせて、ストラップダウン方式の慣性ナビゲーション・システムを構築
https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/articles/strapdown-inertial-navigation-system-based-on-an-imu-and-a-geomagnetic-sensor.html#
手に保持されたセンサを用いた 歩行者向けデッドレコニング ...
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_download&item_id=72822&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1
また、事前に作成された磁気マップと磁気センサ出力を比較して位置を求める測位技術もあるようです。
地磁気を用いた高精度屋内位置情報サービスを提供開始
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2018/050101/
現在当方が利用している測位アプリには、磁気センサの出力を利用しているものは無いようですが、磁気センサ対応の測位アプリが利用できるようになった場合には、ケースのマグネットが問題になるかもしれません。
下記のアプリ"GNSS/IMU Logger"の説明には、"For the Sensor logging, the application can log Accelerometer (m/s2), Gyroscope (rad/s) and Magnetometer (μT) data."と書いてあるので、磁気センサ出力のログ取得が可能なようです。
GNSS/IMU Logger
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ista.android.apps.location.gps.gnsslogger
更新日:2020年12月19日
サイズ:7.8M
インストール:1,000+
現在のバージョン:v1.0.0.1
Android 要件:7.0 以上
実際にケースのマグネットが磁気センサ出力に影響を与えるのか否を調べてみました。
【(04)カバー開閉時の磁気センサ出力(x,y,z)の変化】
表示されたグラフを見ると、カバーの開閉に同期して磁気センサ出力が変化しているので、影響があることは間違いないです。
マグネットは裏側のカバーに埋め込まれていますが、表側のカバーに埋め込まれた磁性体が移動することにより磁界分布が変化して磁気センサの出力に変化が生じたものと思われます。
なお、Huawei Mate 20 Proで使用されている磁気センサは、akm-09918のようです。
AK09918C (3-axis electronic compass IC)
https://www.akm.com/content/dam/documents/products/electronic-compass/ak09918c/ak09918c-en-datasheet.pdf
意図しない変動は無い方がよいことは間違いないので、そのうちマグネット摘出手術を行うかもしれません。
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